飛鳥川上坐宇須多伎比売命神社
(あすかかわかみにます−うすたきひめ−の−みこと)
高市郡明日香村稲渕698


交通案内
近鉄橿原神宮駅 奈良バス明日香観光会館前(石舞台) 飛鳥川沿い徒歩30分

祭神
宇須多伎比売命
 後方の南淵山を神体山としていた。
 摂社 八幡神社、神功皇后社、(仁徳天皇社)

由緒

 宇須多伎比売命は加夜奈留美命と共に飛鳥坐神社の裔神(御子神)とされている。入谷鎮座の大仁保(おおにほ)神社を合祀している。前の飛鳥川上津瀬の臼瀧(流れが渦のようになる所)と言う地形に鎮座、飛鳥川は神奈備川であり、その女神である。臼は女性の象徴である。

 出雲国造神賀詞は、大穴持命が国土を天孫に譲って出雲の杵築へ去るに当たって、自らの和魂と子女の御魂を大和に留めて皇室の守護とすべき事を誓うが、 その中に「賀夜奈流美命の御魂を飛鳥の神奈備に坐せて」とあり、皇極女帝が雨乞いをした飛鳥川上の神奈備の神はここである。四方拝の初めである。 この社は、飛鳥の神奈備にしては飛鳥の宮からはいささか遠いのが難点である。これは更に上流の加夜奈留美命神社にも言える。

 奈良県高市郡神社誌には次のように記されている。宇須多伎比売命は宗像三女神と異名同体の神である。すなわち下照姫の母神となり、加夜奈留美命の母神にあたることになる。 

 天武5年にも南淵山の木の伐採を禁じ、飛鳥川の水源を守ろうとしている。

お姿
  合計189段の石段とスロープ30mで神社に着く。美しいチューリップの花が出迎えてくれる。花梨[かりん]の木がある。落葉高木の一.実は砂糖漬け,材は器具用によいとされる。 元NHKのアナが宮守をされている。退社後神職の資格を取られたとのことである。
 社殿は一つで、これは拝殿であり、御神体は山である。杉の木が多く、紅葉の緑も鮮やかである。

一の鳥居と社殿


お祭り
1月11日 綱掛祭 カンジョ祭りであり、男綱をこの神社の川下に、女綱を加夜奈留美命神社の川下に掛ける。この祭りはイザナギ命を祀る熊野花の窟神社の「おつなかけ」が伝播したのである。

男綱


女綱



「四方拝」と「道教」との関係

 元旦の払暁、天皇が天地四方、並びに皇室の先祖のお墓を遙拝する行事である。この四方拝の起源はチャイナであり、平安時代から定着したものである。 本来の日本の神は山、木、石などの自然のものや先祖であって、四方を治める天地の神などの抽象的なものではない。持ち込まれたもであることは疑いない。
 皇極天皇が元年(642)に雨祈願をこの神社に行っている。「四方を拝して気を服す」「四方を拝して神明を感じせしむ」とは道教の教典によく出てくる。

 皇極天皇は重祚して斉明天皇となって、道教寺院と言われる「両槻宮:ふたつきのみや」を多武峯に作っている。この時期に道教思想がそうとうに入り込んだと言われる。

        以上参考−『日本史を彩る道教の謎』から−

 酒船石の麓から亀石が出土した。亀は長寿のシンボルで、亀卜が重視されたのは長きゆえに未来を知っているという。 飛鳥には西南を向いた亀石が知られている。西を向くと世界が泥の海になるという伝承がある。誰か向きを変えたのかね。
 



大和の神々

暢気なタオさん

神奈備にようこそ