木本八幡宮
和歌山市西庄1


一の鳥居、二の鳥居と神体山

交通案内
南海電鉄加太線八幡前 北1.5km its-mo

祭神
應神天皇、神功皇后、日靈大神

配祀 仁徳天皇、高良玉垂命、金山毘古命 ほか
摂社 若宮神社、高良神社、三嶽神社 ほか

三の鳥居

由緒
 紀伊続風土記によると、紀國造家祖天道根命が淡路國御原山に天降り、賀太より馬に乗り木の本に到り、しばらく斎奉り毛見に遷ったと伝えられている。
 日前宮の日像鏡を当地の厳橿の木の本にお祀りしたとの社伝と同じ伝えである。
 また、神功皇后遠征の帰途、誉田別命が仮宮を造りしばらく留まった事で、欽明天皇御宇、芝原八幡宮が創祀されたと伝わる。
 秀吉の紀州侵攻時、建造物、古文書は焼けてしまい、後、木の本宮と八幡宮を合祀したのである。

拝殿

お姿
 本殿は元和四年(1618)再建の木造檜皮葺三間社流造で桃山時代の遺風が残る。県指定文化財。
 社叢は典型的な照葉樹林の小山の杜で、貴重なものとの事である。町中にも下の宮があり、鳥居から神体山がよく見える。本殿近くに祭られている神々の系譜が示されている。また多くの摂社には一つ一つ祭神名と御神徳が書かれており、お参りするにわかりやすい神社である。

本殿


 また、自分の信仰する神に祈る事ができる遥拝所がある。

万葉集 難読歌の碑
 

 巻一 雑歌 紀の温泉[ゆ]に幸[いでま]せる時、額田王のよみたまへる歌
九 莫囂圓隣之大相七兄爪謁氣吾瀬子之 射立為兼 五可新何本
一つの読み方 静まりし浦波さわぐ我が背子がい立たしけむ厳橿いつかしが本

お祭り
例祭 10月14、15日



平成祭礼データの由緒から

木本八幡宮の参拝のしおり
御由緒
社伝によると、神功皇后が三韓から凱旋された時、大臣武内宿禰が幼帝応神天皇をお守りして、この海口(日本書紀にいわゆる紀伊水門の地)に泊り、この地に上陸して頓宮(仮の宮)を造り、暫く留まられた。(船着の松といわれるものが近年まであったが枯死した。)そこで欽明天皇の勅命で西暦五六二年に今の宮の原の地(木本一一五三番地、頓宮の古跡の碑、権殿(ごんでん)が現存し、例祭はここに仮神輿(かりみこし)で下遷宮をした後に行なう)に八幡宮が創建され芝原八幡宮と呼ばれていた。

それより以前、神武天皇のころ、天道根命が天照大御神の霊代を奉じて淡路の国から加太浦に上陸され、この地の厳橿(いずかし)の木の本におまつりして木ノ本の宮と呼んだのが当宮のはじめで、日前、国懸両大神(和歌山市秋月に御鎮座)の由縁の地として、八幡宮創祀以前から地主神として厳橿山(いずかし)(現在の社地)の別殿にまつられていた。天正十三年(西暦一五八五年)秀吉の紀州侵攻の際兵火にかかり、両宮とも神殿を始め宝物、什器(じゅうき)、古典、旧記等多く焼失したため、しばらく仮殿にまつっていた。

元和四年(西暦一六一八年)、新に神殿を造営し、この際木ノ本の宮と芝原八幡宮を一社に合祀して、木本八幡宮と称するようになった。この神殿は現在に伝えられ、和歌山県指定重要文化財になっている。

聖武天皇(西暦七二五年)玉津島行幸の時当宮で魚鳥を放ち放生祭を行なわれたので、旧暦八月十五日に行なわれた例祭を放生祭と称した。新暦の採用により十月十五日に例祭が行なわれるよう改められた。

なお例祭の両日、木ノ本の青年たちにより獅子舞が奉納される。五百有余年の伝統を持ち、特にダンジリでは地上五メートルの所に渡した青竹の上で獅子舞を行い、まことに勇壮活発なものである。この獅子舞は和歌山県から「無形文化財」に指定されている。
 


紀伊国名所図絵



紀伊続風土記 巻二十三 海部郡 木本荘 西荘村

○ 八 幡 宮  境内周六町 禁殺生
    神功皇后
 祀神 応神天皇
    姫 大 神
 廰    神輿舎   神楽所
 御供所  一鳥居   二鳥居
 末社七社
  若 宮  住吉社  山王社  稲荷社
   諏訪社  武内社  高良玉垂社
 神幸所二箇所 一は村の南松林中にあり周百六十二間蛭子社あり 濱宮といふ一は小屋村にあり

 村の丑の方木本村に接して小名芝の山上にあり 一荘の産土神なり 社傳にいふ 神功皇后三韓御帰の時 応神天皇は南海に出て紀伊水門に至り給ふ 当宮其のときの頓宮の地ならん 祭礼八月十五日 隔年に神輿遊覧所に渡御あり 其式甚壮観なり 八幡宮の額は小野東風の真蹟と伝へたり 又武だ信玄か奉納の指物 金輪の中に毘沙門天王の五字を書たり 
 杉原氏平氏盛り奉納の正宗の太刀一振あり 深覚公反橋を造営せられ 真如夫人御湯釜を寄付せらる 芝の南に御鎮座の松といふあり
 神主山本氏建徳以来連綿と相続せる旧家なり 寄進状等数通家に蔵む
  蔵王権現社   子守勝手社
  不動子社    八王子社
  妙見社
 右五社は八幡宮の摂社なり 本社より西にあり 社地周四町 


古代史街道 紀ノ国編
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