潮御崎神社

和歌山県東牟婁郡串本町潮岬 its-mo

鳥居



交通案内
きのくに線 串本駅 南 5km


祭神
少名彦名命



由緒(平成祭礼データ)
 第十二代景行天皇二八年潮岬は字御崎の地にある「静之窟」へ少彦名命を始めて勧請 した。潮御崎神社の創始である。その後静之窟より静之峯へ遷座され、後貞観十二年 (八七一)五月潮見の端へ遷座したが、この潮見の端なる地は明治二年に至りて潮岬灯台建設のため徴せられ再び旧地静之峯へ遷座し、明治三十一年六月社殿を改築して 今日に至る。日本書紀神代記に、「大国主命と少彦名命と力を合せ心を一にして中津国を経営して後、少彦名命行きて熊野の御崎に至りて遂に常世国に適でましぬ。」少 彦名命熊野御崎より常世国に渡り給うたと云う神話にちなんで御縁深い御崎の静之窟に勧請し祭祀を始めた。又古事記日本書紀に、十六代仁徳天皇三十年秋九月十一日大 后盤之媛豊楽(宮中での御酒宴)をし給はんとして紀国に遊でまして熊野の御崎に至り、その処の御綱柏を採りて帰ります。とある。御綱柏の木と伝承されて来た植物が 今も静之窟の近くに自生している。

拝殿

 社号 潮御崎神社、古来 熊野御崎神社 御崎大明神 御崎観音 水崎明神として世 に伝えられた。
 祭神信仰 少彦名命は医薬治療の道を始め給うた神として世人の祈念を集め、海外発 展の神として海外渡航者、海運業者、漁業関係者に広く祈願されてきた。又鳥虫害を除く法を始めた神として農業関係者の崇敬を集めた。 岬会合 江戸時代初期寛永の頃には既に慣例の行事として、周参見より下田原に至る十八ヶ浦の鰹漁の船頭達が毎年旧正月、五月、九月の毎十八日に潮御崎神社に参集し 鰹漁に関する規約が協議協定され、神の御名に於いて遵守された。明治三五年七月法的根拠の上に立つ漁業組合が成立する母胎となった数百年の輝やかしい歴史を持つ岬 会合である。黒潮が最も接近する潮岬沖は郡遊する鰹の宝庫であって十八ヶ浦の漁師達は潮岬沖を指して鰹漁を競った。漁場を一望に見渡す潮御崎神社は共同の守護神と して篤い尊崇を集めて来た。


 御製歌 花山法皇 潮御崎神社行事の節。此処にます 神に手向の幣帛なれや 潮の 御崎に寄する白波。
 白河天皇行幸の節。あなうれし 難波の宮のこと問はん 潮の御崎の御綱柏に。
以上

磐座




お姿
 灯台入り口の前を右に折れる。ここに三つ柏の木と説明がある。 少し下って行くと鳥居が見える。鳥居の手前から静の窟などへ降りる狭い道がある。 南国だけあって樹林がもの凄い。風も気持ちがいい。
 鎮座地を静ヶ峰と言う。静之窟は万葉集巻三の三五五の生石村主真人(おふしのすくりまひと)が歌一首がある。
大汝(おほなむぢ)少彦名(すくなびこな)の座(いま)しけむ志都(しつ)の石室(いはや)は幾代経ぬらむ
と歌われるが、候補地は石見、播磨などにあるそうだ。

御綱柏の木




紀伊續風土記 巻之七十六 牟婁郡 串本浦 上野浦から

○御崎大明神社  境内周八町
本社 祀神 少彦名命 
五尺 四尺四寸 向拜出端四尺五寸
末社 
高御産霊神社 大己貴命石寶殿 大神宮石寶殿
 拜 殿  御供所
村の坤八町許潮御埼にありて周参見荘周参見浦より三前郷津荷村まて海濱十八箇村の總産土神なり  串本浦笠島といふ地に本宮と称ふる神社あり 是御埼明神の奮地にしてそれより今の地に遷し奉るといふ  其年月詳ならす  社領高二石七斗四升七合あり 『日本書紀』ニ曰ク 「其後少彦名彦命行至熊野之御埼適於常世郷矣」とあり  此地に鎮座し給へるなり 
一説『日本紀』の熊野御埼は出雲國なりともいへり  社殿の寶物書寫の大般若経六百巻あり 巻尾に御埼之寶経永享六(1434年)三月十三日と書す 那智山の末社なり
   神 主   鹽  崎  氏



トッピクス 「高塚の森の太陽祭祀遺跡」について
 

  聖地熊野の中でも本州最南端に当たる潮岬はすごい聖地であるが、神社の由緒書からは、 この神社の社叢(神域の森で普通は禁足地)に残されている太陽神祭祀場のことを窺い知ること出来ない。

 『日本建国史開扉』北岡賢二氏(近代文芸社)からすこし紹介する。白水社の『日本の神々』6の潮御崎神社にも少し紹介されている。

 高塚の森にある太陽神祭祀場の配石遺跡イメージ図

太陽祭祀場の断面図




 この辺りに人が住み始めたのは14世紀〜15世紀の頃で、この遺跡はそれよりはるか太古のもののようだ。
 本州最南端という格好の聖地に太陽神祭祀場がつくられている。 円丘と方段の合体遺跡は前方後円墳の原型を思わせる。 またそれが完全に忘れられているということはどのようなことを意味しているのでしょうか。



お祭り
 2月18日 弓の儀式 神職宅で行われる。
 6月15日 農事祭
10月17日、18日 例祭

古代史街道 紀ノ国編
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