安原八幡神社
和歌山市相坂671 ゼンリン

交通案内
南海電鉄貴志川線岡崎駅南800m 東へ 山の南麓

参道から

祭神
誉田別尊、気息長足姫尊、武内宿禰

摂社
武内神社 
武内宿禰
織染神社
天羽槌雄神、天棚機姫神、少彦名神、草野比賣神

奥宮として武内宿禰誕生の井戸に武内神社が建てられている。


由緒 平成祭礼データから


 神功皇后三韓より御凱旋の際、忍熊王の難をさけ、難波から紀水門(安原付近)に御 到着、御子誉田別命(応神天皇)を武内宿称に護らせ、皇后みづからは更に日高郡衣奈まで迂回をして、再び安原の津田浦(小学校付近)に御上陸、頓宮を造られ御滞在なされた跡が当社である。
 御鎮座年代不詳であるが、欽明天皇の御宇、諸国の神功皇后御経歴の地に八幡造営の詔命があったから、当社の創建もこの時と推憶される。しかし社伝由来記に「応和元年(九六一)如月初卯未明、神託ありて宇佐より天降る」と記されているが、紀伊続、紀伊国名所図絵の編者らは、それが社殿再建なり、壮麗さを備えた中興の年ではないかとして、欽明天皇説をとっているも、裏付け資料なく(天正兵火焼失)由来記をもって創祀としている。
 なお皇后当地での御滞在は御子誉田別命の御身辺に心を配られたためであり、此の地 は武内宿称生誕の地で、一族が阿備柏原(市内松原字柏原、当社南東一粁、宿称誕生之井あり)に居を構えて勢力をほこっており、安心して皇子を託すことが出来たからである。
 やがて忍熊王の乱、武内宿称により平定されるや、皇后百僚を従えて紀の川筋を都へと還幸された、その後道中御休息、御宿泊の地、海南市旦来、名賀郡貴志川町等々各地に八幡宮が御造営されたが、当社は紀伊国御路次中ふり出し第一の八幡宮で紀伊国名所図絵も「当社は日本最初の御旧跡なり、当時皇后の御船紀水門に泊し給い、後日高に還幸し給うと雖も、皇子を留め置かせ給う所は則ちこの安原郷なり」と記している。寛文記によると、社領三十六町あり、社殿壮麗で長床、鐘楼、神宮寺、僧坊六あったが、天正の兵火で焼失、その後再建されたが往時の姿におよばず、今日に至っている。
 例祭には古式に従い江南地区下ノ宮御旅所まで神輿の渡御あり。また春祭(御創立日、四月初卯)には当社に伝わる「さと神楽」が講によって奉納される。

本殿


お姿  

山裾に鎮座する。相坂の集落に近いのだが、神社境内は里の雰囲気がなく、山中のように思われる。 従って社叢も深いと言うか、どこまでかわからない。
 伊太祁曽神社の輪くぐり祭への途中、岡崎駅で下車して参詣した。輪くぐりの後、伊太祁曽神社社務所で宮司さんと話をしていたら、 安原八幡神社縁の方がやって来られた。うれしいことにこ拙HPをご覧頂いたことがあるとのこと、 地元の神社にお詳しく、名草山北西側の名草姫や磐長姫をお祀りしている小祠を見つけられたとのこと、地図まで描いて頂いた。
 また、安原から本渡にかけて、山下姓の方が多いそうである。武内宿禰の母親の名前が山下影媛であり、その流れを受けているとの印象を語っておられた。
 この出会いは、伊太祁曽神社宮司の人徳のおかげと共に、両神社の神々に感謝申し上げねばなるまい。


お祭り

 4月 上卯の日 祈年祭 春祭り
 7月13日 夏季恒例祭 夏祭り
10月13日 例祭 秋祭り 神幸祭
12月13日 新嘗祭 冬祭り 火焚祭り

紀伊国名所図絵 安原八幡宮



紀伊續風土記 巻之十六 名草郡 安原荘 相坂村から

○八幡宮  境内 
東西九三間 南北六十九間  馬塲 長一町 廣四間  禁殺生
    武内宿禰
 祀神 應神天皇   合殿 
九尺 六尺  
    神功皇后
  拝 殿  廳  御 假 屋
  瑞 籬  寶 蔵  中 門
  鳥居二基
 末社三社
  若 宮  高良明神社 
三尺 四尺   稲荷社
村の艮山の半腹にあり 安原八幡といふ 當村及江南松原井戸馬塲新出島六箇村の氏神なり  神功皇后三韓より 御凱旋の時本國に到りたまひ 都に 還幸し給ふに日高郡衣奈ノ荘より御船に御し此地に上陸し給ふ頓宮の跡なり  意[オモ]ふに此地武内宿禰誕生の地なれは驛を駐め給へる事知るへし  其後神祠を造営して御神霊を祭り奉る 是より御経暦の地皆祠あり
且来野上貴志これなり事各地に見えたり  此地を其初とす社家の説には應和元年初めて神社により斎祀り一荘の氏神とすといふ そは宮殿再建なとありて荘麗に備へし時の事ならむ  寛文記に天正以前は社も大にして長床鐘楼神宮寺僧六坊社領三十六町あり 天正の兵乱に破却し後又再建あり 桑山家より十石の地を寄附す  浅野家のとき社領没収せらるといふ  祭礼八月十三日神輿江南村西宮に渡御す  神主を芝崎氏といふ
○末社若宮本社の東十五間八幡山にあり 寛文記に下宮八幡宮といふ 別に免田二段ありしといふ
 

天正元年=1573年

古代史街道 紀ノ国編
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