熊野古道、伊勢路の峠道
一石峠・平方峠・道瀬海岸・熊谷道

三重県北牟婁郡紀北町

 一石峠は天明二年(1782)の『巡礼指南車』によると「日和よきときには木の本へ船などあれども乗るべからず、一石坂、古里村へ」と記されているように、なだらかな心休まる街道をなしている。

加田の山道の地蔵さん



 加田の教会前から歩く。下へ降り踏切を渡り、山へ向かう。入り口に地蔵さん。すぐに一石峠。さらに平方峠があるはずだが、気がつかなかった。
平方峠

平方峠を越えて里に入る所の地蔵堂



 海野集落内を歩く。里の街道跡は殆ど不明なようだ。所々に地蔵などがあり、それを辿りつつ、残っている峠道に至る。

古里トンネル近くの踏切側の地蔵さん



  廃墟となり猿が占拠しているオーシャンステージの横を通り、展望台に向かう。
 展望台からの海の眺めは良い。

展望台から眺めた島々



 ウバメガシなどの密集した森を抜けて海岸に降りる。道瀬に出る。 降りる際に若宮八幡神社が鎮座、紀伊長島町三浦に鎮座する豊浦神社の分社である。豊浦神社の創建は仲哀天皇の崩御後すぐもしくは大宝年間(701〜3)と言う。仲哀天皇の行宮の周防豊浦に因んだ神社名と云う。社叢は県文化財で橘の原木もある。古社。

若宮八幡神社


 道瀬海岸の堤防を歩き、再び峠道にさしかかる。道路工事をしていたので道が分かりにくいが、暫く歩くと案内板が出てきた。 案内の役割よりは確認と安心の役割。少し場所を考えて案内板や説明板を、設けてほしい。

説明文
 国指定史跡
 熊野参詣道伊勢路 三浦峠道(熊ヶ谷道)
 道瀬より三浦に至る旧熊野街道は標高一四〇mの三浦峠を越えると、満潮時には潮がさしてきたという直下の湿地帯を避け、熊谷とよばれていた谷あいを大きく迂回していた。
 江戸時代の地誌『西国名所図会』に「三浦峠、坂道急なり。 峠を下りて三浦の里に至る。 長島より三浦まで行程二里ばかり 」と書かれているように道瀬から峠までは急坂だが、三浦に下る古道は緩やかな勾配で、土地の人々から熊谷道と呼ばれてきた。
 大正六年(1917)に長島・尾鷲間の熊野街道大改修が完成し、各峠下にトンネルが抜けるまで唯一の交通路として親しまれてきた道である。
  平成十五年 三月二十日  紀伊長島町教育委員会

三浦峠



地図


伊勢路 熊谷道マップ


伊勢路編
熊野古道、九十九王子社
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