熊野古道中辺路 八上王子・八上神社
西牟婁郡上富田町岡1382 its-mo



 三栖王子から田中神社を過ぎて小さい峠を越えると八上王子である。この峠の道は山道だが古道の趣があり、すばらしい。中辺路の登り口に当たる。八上神社として岡の産土神として祀られ、社叢も維持されている数少ない王子社である。
 西行の歌碑が境内にある。
  待ちつきる八上の桜さきにけり荒くおろすな三栖の山風

八上王子説明板と八上神社





紀伊続風土記 巻之七十三 牟婁郡 岩田郷 岡村

 八上王子社  境内森山周四町余
 末 社  稲 荷 社  拝 殿  経 堂
 三栖荘三栖村より越ゆる路傍にあり 一村の産土神なり 御幸記にヤガミ王子とある是なり 八上は谷上の義なるへし 僧西行当社の桜を見てよめる歌山家集に載す 其歌三栖荘三栖村の條に載す 境内に松の大樹あり

 田中明神社 境内森周二百五十間
宮代といふ所にあり 祀神辨財天といふ 一村の産土神なり

 山家集 熊野へまゐりけるに八上の王子の花面白かりけれは社に書つけける
 待きつる 八上の桜 咲きにけり あらくおろすな みすみの 山嵐

 


八上神社



祭神 天照大神 (八上王子権現:十一面観世音菩薩)
摂社 田中神社「大年神」
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由緒 天仁二年(1109年)頃の創立

祭り 11月29日 県指定無形民俗文化財である十数種の獅子舞が演じられる。
 「おばなち」なる輪を女児の頭にさしかけて参拝する風習もある。

八上神社




 摂社の田中神社の合祀について南方熊楠翁は次のように記している。 「この森の景観は特に優美で、その上貴重な植物の多いところだ。しかも私は、最近この森の観察から、「古事記」に出る白日神とは何か、に疑問を持っていたところ向日神の誤写と気付き、柳田国男氏との文通で日知り、つまり向日神は日影を観て地相、家相を察することの神だ、ということに思い至った。 このように古社やその森はいろいろ学び得ることが多いので、残すべきは残せ」、多くの神社が合祀されたのは残念である。
 大賀ハスの栽培地に隣接している。

大賀ハスの栽培地と田中神社の森



田中神社境内と社殿



田辺市近辺の熊野王子地図


田辺市近辺の熊野王子地図2

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次の王子社、稲葉根王子


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