熊野古道、大辺路の王子社
雷隅山王子、稲積弁天神社



すさみ町稲積島。JR紀勢線周参見駅の西南1km、すさみ港内。

 山王王子社とも呼ばれた。

 神武東征の折、食糧の稲をこの島に積み上げたと伝わる。

 亜熱帯植物が茂る島で、特にオオタニワタリの自生地の北限地として昭和46年に国の天然記念物指定を受けている。 乱獲により減少したが、現在ではすさみ町等で、絶滅防止と復元を図っているとのこと。大きなものでは葉の長さが1mに及ぶ。

稲積山の夜明け

稲積弁天神社 西牟婁郡すさみ町周参見 mapfan

祭神 市杵島姫神

由緒 延宝二(1674)年、の勧請と伝わる。
 弁財天の伝説がある。ある上人が諸国巡錫の途中この地を訪れ、さっそく島に渡って修行を始めた。丁度明日で満願という時、うしろの祠から大蛇があらわれ、焔のような息を吐きつつ上人にとびかかろうとした。 上人は驚いて浜辺に逃げたが、そこには一艘の舟もなく、下駄のまま海に身を投じた。すると不思議にも上人はすべるがごとく陸に向かって走った。 大蛇はなおも追い続けた。突如として上人の頭上に石が落ち、上人は下敷きになって即死した。大蛇は島に引き返したという。 これを見た村人は、大蛇を弁財天の化身と伝え、島に社をたてて祀ったという。

雷隅山王子の鳥居

すさみ駅付近


各地の稲積ゆかりの地
<<栃木県>> 那須郡烏山町 稲積神社 甲斐国より勧請
<<富山県>> 氷見市稲積 神明神社 古墳群20基(越の王者)
<<富山県>> 射水郡小杉町稲積 諏訪社
<<山梨県>> 甲府市太田町の社 稲積神社
<<京都市>> 稲住神社「安倍晴明」 または「稲積社」とあり稲荷を祀る小祠
<<鳥取県>> 八頭郡河原町大字三谷 三谷神社「稻穗神 ほか」
<<島根県>> 美保関町稲積 キタドのヨナミの国から曳いてきた「闇見(くらみ)」
<<香川県>> 観音寺市 稲積山 高屋神社 稲積神社
<<愛媛県>> 西条市島山 飯積神社摂社稲積神社
 <<福岡県>> 北九州市門司区稲積
 <<大分県>> 大野郡三重町大字中津留 稲積社
 <<大分県>> 津久見市大字四浦字浜 天満神社摂社由賀神社「稻穗之神」
 <<大分県>> 南海部郡直川村大字上直見 御嶽神社「稻御玉命 ほか」
 <<大分県>> 豊後高田市大字上野 三宮八幡社摂社稲積社 稲積大明神が元社
 <<大分県>> 宇佐市大字中561番地 稲積六神社 宇佐神宮を祀った辛嶋氏が最初に拠点とした稲積山である。また修験道の聖地でもあったと聞く。
<<鹿児島県>> 姶良郡溝辺町竹子 稲荷神社「保食神、稻積大明神」
<<鹿児島県>> 国分市、隼人町 大隅国稲積城があった。

 辛嶋氏は秦氏と同族ともされ、また紀の国に縁の深い素盞嗚尊、五十猛命を奉じていた氏族であり、紀氏ともつながっていたように思われる。
 鹿児島県の国分隼人の地は豊国から秦氏などが入植しており、辛島氏の縁で稲積との地名が運ばれたと思われる。この二つの稲積以外には目下関連を見いだせない。

 神武東征経路とは聖地訪問の経路のはずであり、経路に紀氏、熊野、修験の聖地が影響を与えていると思われる。

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