1 三省堂刊 ; 金田一京助監修『明解・古語辞典』
《記号》 古 ; 日本古語 U ; ウチナー(沖縄) K ; 朝鮮語 O ; オロッコ(ウ
イルタ) T ; タジク語 TG ; タガログ語(フィリピン) TM ; タミル語 C ; シ
ナ語 p ; パーリ語 B ; ベトナム語 J ; 日本語 R ; レプチャ語 A ; アイヌ語
Z ; 族際語 AW ; アジア wide ww ; 世界規模の族際語
※ とくに断らなかったローマ字表記の外国語は「 N ; ネパール語」です。
古語語彙 辞典がいう意味 註釈(生田の感想)
アイズリ 悪事をする仲間 s 音脱落 アシズリからの音転か 掏摸
アイムベ あいなめ祭りと同じ ayn(鏡)部の祭りか ayn = 鏡 = 法
アタ アダ 反・離 a- は西洋系 反・非・不 * ar(他) 起源か
アトマクラ 足から頭のてっぺんまで
アドナシ 子供っぽい アドは遮光器土偶(童神)のことでは?
★ あはがら 粟の茎 稲がら から(幹・茎) khar(麦わら) K ; ka:l(すすき)
★ ふさ 茎
★ から 屍 からだ なきがら 空(カラ)
★ ふみがら 不要となった文
あひもの アイモノ 塩魚類の古名 藍(アイ色)と染色に不可欠な塩
あふ(オオ) 男女が契る
あふ(オオ) 山が戦争する オオヤマツミ A ; kotumi(戦争)
天飛ぶや 「かり」にかかる枕詞 かるの船(双胴船……貴族のど肝を抜いた)
アラキ酒 この辞典ではオランだからの借用語としている / WW ; 世界規模で共通
あれ 上代語の「村」
いそぶり 岩にうち寄せる波 岩泉海岸に「かぶら岩」。ちはやぶる。波かぶり
いた 激しく 甚だしい いたたまらない
いたける 未詳 慰めるの意味か 「未詳」としたところに意味がある。
いつつし 悪い 驚きあわてる tutu(破壊) √ i - tutu の造語法
いはむ 多く集る いっぱいいる A ; epa(いっぱい)
うけふ(祈ふ)神に祈って未知を知ろうとすること / トヨウケ A ; uk(採る・執る)
うず 花のかんざし 満州語 uzu(頭) 「うずに挿す」はこっち。
うず 諦める 「うさる」は無くなる。 sar-(移動する)
うずさま 仏、不浄を司る神
うつ 捨つ 九州弁 ; うすてれ(捨てろ)
うつー まったく
うづ 尊厳なること うづまさ?
うすで 浅い傷 dhuk(痛む) てを負いぬ(傷ついたぞ)
うそ ロ笛 太宰府のうそ笛 suseli(口笛)
うだき 吠えること 虫のスダキ 九州弁 . うだごと言うな
うつくし かわいい いつくしむ i / u 通音(東北〜朝鮮〜蒙古〜トルコ)
うら こころ 思い A ; ram が言いにくかった人びとは u を立てた
うら こずえ(梢) 古、A ; *ure(手足)
えだ 手足 身体名は解剖的センスで命名している。
うみを 積み麻(を) T 音脱落 積み麻が先にあったとみるべきだろう
おそひ 着物 襲名の襲とは先代からの着物を着る儀式か
★ おちぐさ 鷹が小鳥を追い落とした草原 N,A ; ochi 〜 uchi(追放、絶滅)
★ おちあし 逃げて行く足どり 「草 = 原」に注目
おっぱ 最後 後方
おつもり 酒宴での最後の酒 泡盛 マージャンの「つも」
おとぼね 音声 bol-(呼ぶ、話す)
★おとりばら 身分が劣っている母mその子 bala(子)→ 氏子 → 一族
★みこばら 皇女の子
おふ その方向へ向ってゆく
おふ 昔に遡る
おほだら 大刀 dhar(刃) khuda(大刀)
おほひら 平たい大きな椀 pirac(皿)
かいつのぐる 髪を無造作に束ねる kairo(櫛) sinη(つの) sinηal
(化粧)
かが 利益 りこう 古 ; ka(匂い)
かをさま、かをばせ / 顔色
★かきべ(部曲) 私有の部落に隷属して
★ともべ 所定の仕事をする者
かきみる 漕ぎまわる
かげまち 月の出を待つこと
……がた ひとを敬い呼ぶ語 奥方など karta(指揮者)
かど にしん かずのこ cadkyo(雷) / はたはた
かぶ 持ち前となっていること 株式 お株を奪う
かぶり 失敗 九州 しかぶる(衣服着たまま屎尿する)
がんた 片目 めっかち ghatti(減少・減ること)
き 酒 R; ki(酒) 灘のキ一本 アラッキの“キ”
きらす 空を曇らせる kuiro(霧・もや) K ; kulmo(雲)i / u
くさうず クソウズ 臭い水 ur(水)→ 第二子音濁化で uzu
くさる 繋がる 六ヶ所村“戸鎖”……<海 or 湖で繋がった。
くしひき 櫛を作る職人 糸のこみたいな道具で引いて櫛を作ったか?
くしび 霊妙 ふしぎ くす玉 bi は 古 ; ○○ふうの 例 ; 神奈備
くじる 穴を穿ってえぐる 杯状穴 4 〜5万年の歴史があるのだろう。
〃 穴に物入れてかきまわす おのころ島 こうろこうろと……
★くち 鷹(百済語)
★のり 鷹 「のり」には宝もある。 なかのり山
★まとり 鷹 K ; ma (鷹) 物部真鳥 バスク語 ;txori
☆くちづつ くちべた tutu(崩壊)
☆くちてづつ 〃 te は B ; 性質
くつくつ くすぐるさまにいう kutukuti(くすぐる)
くて(サンズイに秋) / 低い湿地 戦場 ; 長久手 A ; kot(窪)
★くぼ 女性性器の異名 *ku = sex
★くも 交情がとてもこまやか
★くなぐ 性のいとなみをする いざなぎ なぎの木(聖樹)
くなどの神 道ばたの神 さいの神 kuna(角、隅)英 ; coner sait(吉兆)
くり 思考 やりくり算段 かんぐる krite(模造、偽作)
くり 水中にある染色用の黒い土 J,A,K ; *kur(黒)→ kur-i(もの)
くるくる 滞りなくする様子 すらすら khurukhuru(さっさといく) ぐぐと寝ろ
くれ(呉) 応神天皇のとき呉と交易した 応神天皇は呉と連繋して日本に上陸したか 秦
おも 呉音で「芸」の訛り 音価が離れすぎている。おもろ 師もモロ
くるス原 栗が生い茂っている原 「ス」は密集か
くろ 平地の中の小高いところ クロを畦とするは誤訳では? kulo(小川)
ごかし 放っておく 寝ごかし」など 「おためごかし」とは又ちがう
ごつごつ 咳をする音 khoki(咳) A ; kakse(咳する)
こむら スネの後ろの肉付のいい部分 mula(だいこん) 徴兵の基準
ころく カラスの鳴き声 英語 ; crow(カラス)
さかる 離れる / 遠ざかる 防人 サカには別語「デト(集落の出はずれ)」
さき 波頭の白い泡だち 裂けてくだけて…… 海岸地名 ; 崎、岬
佐保姫(春を司る)
立田姫(秋を司る)
しが それの 之(シ)が(の)
しき 堅固に築いた城 磯城 J,K ; si(強い)
★しこじる (病気が)治りそこなう sikist(重病) 英語 ; sick
★ししこらかす 〃 〃
★はみかえる 病気がぶり返す 英語 ; harm
はやし 物事が多く集ったもの 「切る」はえんぎが悪いので「ハヤス」と換えた
(山口県柳井方言) ハヤシ・ライスの語源か
はやし 飾りの材料 美しくさせる物
しむ 茂る 「しみたつ」などと 18行上の「くるス」の関連語 i / u 通音
しゃなぐる かなぐる(捨てる)
じゃみる うまく行ってたのにダメになる 津軽方言ガジャメギ(ぬかるみ)のジャか?
す 尊敬の助動詞「しらす」など
すき、すぐり 古朝鮮語の「村」 カバネの一つ 沖縄のグスク ハバロフスク
すまふ 俳優が舞台の上で位置をとる 相撲の語源? マスラオはアラビヤ語らしい
すむ 物音がする 静かになる *sun(聞く・さびしい) A ; *hum(音)
すめく 息づかい 「つめく」とも sor(声、音)
つく 音をたてる 「ごそつく」など 鐘をつく うそつく? 告ぐ?
めく 〃 「こそめく」など
そ 遠い 離れる ・♪ てんてんてまりの手が…… A ; so(外)
そと ちょっと chito(短い)
そや 征矢 ワッショイの替りに、この頃は という
たくつの 栲(タク)で作った縄 「の」が縄か? 暖簾
たばす お下しになる 束稲山(平泉) ta(神)bas(住む、座る)
たに 布地 tanna(敷物) 反(たん)
たひら あぐらをかくこと
たふ 布の一種 WW ; taphi(小布)
たゆとう あちこち漂って定まらない
ち 鈎 釣り用語チモト
はやち 風 「迅風・はやて」とも hawa , haba(風) A ;
チ 方角 tira(……の方)
ちぶ 擦れて減る k i i(使って次第になくなる)K / C i
つ 小片 「こつは」は木片
づくにゅう ミミヅクのような僧みたいな人 入道の“入”らしい。dhukur(山鳩)
つくの船 大きな船
つづ 十(じゅう、とお)
つづまう 災害をうける tutu(破壊) A ; mau(力)
つと 朝はやく A ; tu(古) O ; しちみち
照りはたたく 照りつける この訳は間違っている はたた(雷)の光
とねり(舎人)天皇貴族の雑事の管理者 (若さ)/ 老中・若年寄り
はかす だます たばかる 化かす 満州の赤い鹿 → バカ
はたす 殺す go-hat-ya(牛の屠殺屋) ya = 屋
なはる 隠れる har(表情) hal-(なってしまう)
★を (波など)寄せ 帰す
★なをり 折れ重なって高く立つ波
ねき 側 脇 *nir(そば)
はに 赤土 ha に「赤」があるか。あれば haj (恥)
はやる 気がつよい
はふ 巡る 「はふりべ」とはただの当番のことか
ひし 災難 破滅 hiss-(がっかりする) *his(殺し)
★はな 組 「はなわ」は「組の人」となる?
★ふさ 多いこと たくさんあること fu , hu が「多」。ふんだん
★ふさぬ 纏めて束ねる 花房さん、鳥取県にあり。 -nu はネパール語
ふし 柴(しば)
ふたぐ ふさぐ / 防ぐ 蓋 S / T 通音
ふみしかる はだかる(股をひろげる) J,K ; si(強い) kar(する) K ; sit(股間)
ほかゐ 食べ物を入れて運ぶ器 bok(運ぶ) wi は道具か
ほがみ 腹 A ; honi(腹)
ほたけ ふいご祭り *tak(神) ホ(火)祭り か
土佐弁 ; ほたえな(ギャーギャー騒ぐな)
へぎ 売って利益を稼ぐ 筑紫弁 ; へげん=ダメだ。
まがふ 交わる 「まぐわい」の古形らしい。< manη ku
まく 官職に任命する くにまぎ 任く(まく)
まな ○○するなと禁止する意 man(いうことを聞く) man-ai(禁止)
※ 「魚がいる井戸」を強調する真名井の議論は、ここを踏まえないかぎり空論に終わろう。
まもる みつめる √ゆく末まもれアシタ草……源為朝詠む
みづち・みづは 水の神 ha も神。badsaha(王) badsa =はつせ
みもろ・みむろ 貴人の宅 神社
みる 巡る 国見山 mir-(会う、会見する)
むす うまれる 生える スは敬語 ? mu が語幹。 umla(生産)
むすぶ (掌で水など)掬う *sum(水)
むま 馬 ウンマと共に B 起源 高句麗 ; mur(馬)
めどぎ(竹の下に坐) / 占い めどはぎとも はぎ < bhage(幸運)
★もがり 屍をしばらく収めたところ B ; mo(逆) kar(する) ghar(家)
★あらき 〃 〃 焼酎のアラキではない。 WW ; ar(別の)
もだ・もだす 黙る B ; mo(逆) d- は舌か dada(舌) 百舌
やき 逞しい馬 馬の背の高さ 「弥(いや)高し」からか? 屋根 騎馬
やしはこ・ヤシワ子 / 孫
やる 破る A ; puyar(窓) <壁に pui(穴)を開けた
ゆ(斉) 神聖な意を表す 湯島には風呂屋はなく神社があった。
ゆすぶ(上代東国) / 結ぶ 結城(ゆうき)市 M音脱落か
ゆた ゆっくり のんびり 「豊か」はオノマトペアだったか
ゆふさる 夕方になる sar-(うごく、移す) 方言 ; さるく
よ 竹の節と節のあいだ 物に囲まれた空間(聖域) tak-a(竹)
よち 同年輩であること 「○○ -t i」 -ti は汎インドの末尾辞
よふり 松明を灯して魚を獲ること 経(ふ)る か 振る か Gr ,K ;pur(火)
よむ 数をかぞえる 月よみ=月齢を数える人
よろこび 祝いごと 謝礼
ーより 回、度 jor(一対)?
よろし 水準以下だ 豊後 ; i-oro(少しは○○でない)、
おろ痛いらうげ、らうがい(労咳) rog(病気)
類す 従う 群馬県の姓に類がつくもの多し C ; 随行
ろうたげ いかにも可愛い lawane(美人、魅力)ラルパテ(なでしこ)
ろうず 損じて売り物にならぬ商品 英語 ; loss
ろく 平ら まっすぐ まとも 完全 *lok(地上、この世) A ; rik(高み)
わう(王) 親王宣下も姓もない天皇の子孫 アラビア awj(山頂) T ; aBd∫(山頂)
わかだつ 若芽がでる この「たつ」は目下国籍不明 A ; ash
わかち 区分 思慮分別 事情 「わかる」の語源か
ワカントホリ 皇統(血の) オリ / A ; kem(血)-orit(血統) ori(起源)
わた 海 曲(入り曲ったところ)
ゐる 歯が浮く 「居候」とは? おべっか使いか
ゐる 携帯する 「ひく」+「ゐる」で率いる
ゑんず いやみをいう A ; wen(わるい) クルマのエンコ
ゑたく あえぐ 嘔吐の「をたく」の類同語か
を 峰 高尾山=神峰山 飯塚〜田川間にカラス尾峠
を 意味のない発語 日本語アイヌ語共、語頭母音が多い。
をさぎ うさぎの異名 ほかで兎は分析できている。 K ; thok(兎)
---- 以上で金田一監修の分は完 ---- |