長尾神社
奈良県葛城市当麻町大字長尾 its-mo


鳥居



交通案内
近鉄南大阪線磐城駅下車 南へ7分



祭神
水光姫命、白雲別命
摂社 厳嶋神社「市杵嶋姫命 配 天兒屋根命」



由緒 社頭説明板から

飛鳥と難波を結ぶ日本最古の官道と言われる竹内街道と、伊勢・長谷街道が吉野・壺坂から下田・王子を経て堺に至る長尾街道が交差する交通の要衝を踏まえた長尾の森の広大な神域に鎮座しています。 正面の拝殿は、昭和十一年の新築で瓦葺、単層入母屋破風掛造、拝殿の正面に入母屋造の祝詞屋があり渡廊下で拝殿とつながっており、 明治十七年の再建です。本殿は二社並立しており向拝が付された素木の春日造を基本にした紫宸殿造で、軒は二重繁垂木、桧皮葺の屋根には千木カ堅魚木が配されています。
 伝説では、長尾神社は東面し、大和高田の竜王社*は竜の頭であり、長尾神社は竜の尾をあらわしていると伝えられています。 また、長尾神社は大蛇、つまり巳さんの尾で、三輪明神さんは巳さんの頭であるとも伝えられています。
*神奈備の注:西向きに鎮座する石園座多久虫玉神社の通称を龍王宮と言う。



由緒

 式内大社。当麻路一帯を代表する地名が長尾で、その長尾氏の氏神であったとされるが、定かではない。 祭神は吉野連の祖神であるが、当社の社家の吉川氏が吉野川氏と称して、吉野連の祖神を祭ったと社伝にあるが、全く無関係な神々を祀るはずもなく、 何らかの形で吉野連とつながりがあったのであろう。

 吉野連は吉野首が天武天皇から連を賜ったのであるが、かれらが斎祀った神は井光の女神で、またの名を豊御富(トヨミホ)といい、佐伯有清著「新撰姓氏録の研究」に 「豊御富の「豊」は豊穣の意で美称。「御」は接頭語で「霊」(ミ)と同根である。「富」は「トミ」と読まれているが「ホ」(穂・秀)と解すべきではあるまいか。とすれば豊御富は豊かな植物の穂、もしくは稲穂を意味する神名となり、水神の名としてふさわしい。」 とあると、吉野にようこそのマルヤさんからご教授がありました。

 面白いのは『新撰姓氏録』では、女神を祖神とする唯一の氏族が吉野連であることで、中央は平安時代には男系優位思想になっていたのであろう。 同書に天皇家の祖神を記していないが、記すとすれば天照大神からになるのだろう。

 また、アイヌ語のGenのページへようこその大三元さんからは、『丹後風土記残欠』には「伊加里姫社」があると教えて頂きました。 風土記記載社ですから相当な古社です。現存していませんが、凡海郷の日出倭さんから、丹後の伊加里姫社は現在舞鶴市の笠水神社に合祀されて いたと思います。とのメッセージを頂きました。

 吉野−当麻−丹後、このつながりは課題として残りました。



本殿



お姿

 二上山がすぐそばに見える。社域は4000坪余、社叢が素晴らしい。 別段鬱蒼としている訳ではなく、木々の間から民家が見えるのだが、何とも言えない雰囲気で、心にくるものがある。 これは聖地だと感じる。


お祭り
 3月 4日 祈年祭 御田植祭
 9月 秋分の日 秋分祭
10月 4日 例祭


平成祭礼データから



 延喜式神名帳(平安時代)に「葛下郡長尾神社、大、月次、新嘗」とでている式内 の旧社です。尚六国史の一である三代実録に、「貞観元年己卯(八七五)正月二十七 日大和国従五位下、長尾神社従五位上」とあり、今から千百年前には、この地に鎮座 されたことが明らかで神階はその後寛平九年(897)より弘安四年(1281)ま での間に九階進昇のことがあり、弘安四年には正二位に江戸時代には正一位にまで進 まれたと社傳に伝えている。
 御祭神は神武天皇ご東征に際し、吉野川上村井光方面にご巡幸の時、井戸の中から 現れたとされている水光姫命であり、古事記や日本書紀では、光って尾が生じていた と記されている。新撰姓氏録では「吉野氏の祖先で、天白雲別命の娘、豊御富登であ り、水光姫の名は神武天皇が授づけられたもの」としている。長尾神社の社傳では「 この水光姫命が、応神天皇の御代に当麻町竹内の三角岩に降臨され、子孫の加彌比加 尼に命じて長尾に祀らされたものでお姿は白蛇であつて、今、神社の東北に藤をもつ て覆われている御陰井の藤の花はそれである。
 嘉吉三年(1443)王寺町放光寺縁起によれば「長尾神社は放光寺の鎮守神で、 葛下郡全体を当社に献じられた。」としていますが、長尾神社の名称の由来を説明し て、即ち「城上郡(今の桜井市のあたり)の美女を嫁にされた神様があったが、一向 に姿を現されないので、嫁の父が、神様の着物のすそに、長い赤糸を取り付けて、そ の後をつけていった所、長尾宮には入った」といふ話であります。水光姫命は豊御富 とも申され、豊かな吉野川の水を守られる水神であり、また井戸の神様でもあります 。父神が天より降臨された天白雲別命であるというのは、白雲が雨をもたらし、雷に もなるところから、水の根源を現したものであります。この点で、農耕を始め、種々 の産業を守る御神徳をおもちであります。
 
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