神奈備の物理雑談 3

冷たい輝きを放つ天王星の環星
天王星の環は大規模な望遠鏡でなければ観測できないため、1977年まで発見されることはありませんでした。しかし今回、チリのアタカマ砂漠にある巨大望遠鏡、アルマ望遠鏡で撮影された天王星とその環。天王星の大気に見える黒い部分には電波を吸収する硫化水素が広がっている。

惑星誕生の現場
アルマ望遠鏡、「視力2000」を達成!? 史上最高解像度で惑星誕生の現場の撮影に成功。
アルマ望遠鏡が観測したおうし座HL星の周囲の塵の円盤。間隙に隔てられた同心円状の細い環が幾重にも並んでいる様子がはっきりと見て取れます。アルマ望遠鏡が観測したおうし座HL星の周囲の塵の円盤(左)と、太陽系の大きさ(右)を比較した図。右の図では、太陽系の最も外側を回る惑星・海王星の軌道が一番外側に描かれています。おうし座HL星のまわりの円盤は、太陽系の3倍程度の大きさがあることがわかります。
画像 おうし座HL星

より古い隕石
より古い隕石
 1960年代にオーストラリアに落下した隕石の中から、約75億年前の微粒子が発見された。地球上に存在する最古の物質とみられる。このマーチソン隕石は、アミノ酸などの有機化合物が初めて確認された。研究によると、見つかったアミノ酸は、現在の地球上の生物を構成しているアミノ酸の始まりと考えても矛盾しないことが判明した。誕生時の地球は高温であり、アミノ酸が形成されにくい環境であったと考えられる。生命の源は、隕石によって地球外から運ばれてきたと考える学者が増えている。
画像 マーチソン隕石

北磁極
 地球上で磁力線が鉛直になる場所を磁極といい、北側を「北の磁極」と言います。北の磁極はよく動いています。地球内部を流れる液体の鉄に影響されて、過去100年ほど、北磁極は真北に向けてじりじりと移動してきました。ここ20年、北磁極はカナダ北極圏からロシアのシベリアに向けて年間55kmとスピードを上げて移動し始めました。北西方向への移動です。1590年から1990年までは概ね1年間に10キロ未満のペースでしたが、スピードアップはなぜなのかはよく判っていません。
 地球の地磁気は最近の100万年の間に、北極が南極に変わり、南極が北極に変わるという「反転」現象が3〜8回起きたことが判っており、この先100年の間に反転するという見方もあります。また。氷河期に入るのではとの意見んもあるようです。
 今日ではGPSで方角がわかりますが、電波の届かない海中などでは、やはり方磁石が不可欠です。
画像 北磁極

恒星の最後
恒星ができると、重力で中心部が熱くなり、1000万度を越すと中心部で核融合反応が始まった時から、可視光で観測可能な天体になります。水素を原料とする核融合反応が進むと、ヘリウムが出来てきます。太陽の場合には100億年ほど燃え続けます。そして、水素が少なくなってくると星の中心部がつぶれ始め、中心核がつぶれると中心の温度が上がって星はふくらみ始めると言います。大きくなった分、表面の温度が下がって、星は赤く輝き始めることになります。そして、星は不安定になってゆっくりとふくらんだり縮んだりを繰り返し、赤く巨大な星になるのですが、これが「赤色巨星」と呼ばれるものであり、星の老年期の姿なのです。
これ以降は、星の大きさによって最後の姿が変わります。  なお、太陽質量の0.7倍以下の恒星では、その一生は1000億年以上に及びます。これは現在の宇宙の年齢(約137億年)よりも長く、このようにして一生を終えた星は今のところ存在しません。核融合反応は起こらず、褐色矮星となって冷えてしまいます。
 恒星の最後 赤色巨星

赤色巨星以降の運命
 太陽と同じくらい、太陽の0.8〜4倍くらいの質量の星では、「赤色巨星」になった後、星は大きさを変える脈動などを始めるようになり、徐々に外側のガスを周りの空間に吹き飛ばすようになります。
その後、星は中心部の高温のヘリウムの中心核だけを残して外層のほとんどが吹き飛ばされてしまい、「惑星状星雲」と呼ばれるものになります。  そして、ヘリウムの中心核はそのまま収縮を続け、高温の小さな星になり、これが「白色矮星」と呼ばれるものになります。
「白色矮星」は、だんだん冷えていき、最後には暗い小さな星になってしまうと言います。
画像 白色矮星の合体想像図

赤色巨星以降の運命2
 太陽の4〜8倍くらいの質量の星では、重力が大きいので中心核でヘリウムも核融合反応を起こし、その結果、炭素や酸素が出来るようです。
 さらには炭素も核融合反応を始めるのですが、炭素の核融合反応は激しいので、「超新星爆発」を起こして、さまざまな思い原子ができ、それが飛び散り、あとには何も残らないそうです。次の星の原料になります。
画像 超新星爆発

中性子星
太陽の8〜30倍の質量の星は、もっと重量が大きいので、中心核で炭素や酸素も核融合反応を起こすのですが、最後に鉄が出来るとそれ以上核融合反応が進まず、「超新星爆発」を起こすそうです。そして、中性子とニュートリノが出来るのですが、ニュートリノは宇宙空間へと飛び出して行き、残った中性子だけで構成される、非常に重く、小さい天体が残るそうです。これが、「中性子星(パルサー)」と呼ばれるものになります。パルサーとは、規則的な電波を発しますのでそう呼ばれています。
 太陽の30倍以上の質量の星は、非常に重力が強く、「超新星爆発」を起こすと「中性子星(パルサー)」も重力でつぶれてしまい、あとには光でさえ脱出出来ない天体であるブラックホールが残るそうです。
画像 中性子星

中獄共産党の弱点衛星

一、 西側の立憲民主制。権力分立、多党制、国政選挙、司法の独立。これは中国共産党の指導体制や中国型社会主義体制を脅かす。

二、普遍的な西側の価値観。これは中国共産党の理論的基盤を弱める。

三、 市民社会や、個人の権利は国家によって尊重されなければならないとする思想。これは中国共産党の社会的基盤を破壊する。

四、 制限のない市場原理を重視する新自由主義。完全な民営化と自由化。これは中国の経済システムを変革する。

五、 西側の「報道の自由」。これは中国共産党によるメディア、出版の原則を揺るがせる。

六、 例えば毛沢東のレガシー(政治的遺産)を否定するような中国共産党正史に対するニヒリズム。

七、社会主義体制の正統性への疑念。

ヒミホ銀河
 2013年に東大の大内正己(現在は教授)率いる観測チームがくじら座の方向に207個の銀河を発見し、その中に130億光年先の明るい銀河であるヒミコを見出しました。勿論ヒミコは邪馬台国の女王卑弥呼からの後からの命名です。
 宇宙誕生は138億年前とされていますので、宇宙ができて8億年以内に出来たファーストに近い銀河ということになります。太陽質量の400億倍の質量を持ち、大きさは5万5千光年でわれわれの銀河の半分くらいの直径です。当時の宇宙は今より三分の一程度の大きさですから、ヒミコは大きい銀河だったのでしょう。
 残念なことに卑弥呼はヒミコではなくヒミホ(またはヒミヲ)が正しい読みと思われますので、この見解がもっと速くに史学会に認められていればよかったのにと思います。

オロチ銀河
 2008年くじら座の一角にある遠くの銀河を観察していたところ、観測予定時間が余ったのでその時間を新人の院生が周辺を観測した。そこで強大な電波を放つ天体を発見しました。さらに詳細な観測で、118億光年のかなたにあり、星の数は天の川銀河の100倍と判明しました。この銀河を日本神話のヤマタオロチにちなんで、オロチと名付けられた。
 初期宇宙の「爆発的星形成銀河」(モンスター銀河)の10倍以上明るい「超モンスター銀河」ともいえる銀河であった。赤外線より長い波長を観測するサブミリ波望遠鏡を用いて、約1000個のモンスター銀河を発見してきたが、オロチはそれらの頂点に君臨するモンスター銀河の王というこである。
 私達の天の川銀河は130億歳で年間に太陽の質量の数倍の星をつくっていますが、オロチは1年間に太陽500〜1000個分もの星がつくられています。若い銀河と言えるのでしょう。

ファースト・スター
 宇宙が誕生して35万年までは、高密度なプラズマ状態で光すら出ることができませんでした、宇宙が冷えて電子と陽子がひきあって水素原子が出来始めました。やっと光も自由に飛ぶことができるようになりました。光が飛んで行ってしまって、暗い宇宙になってしまいました。まだができず、輝いていません。
 1億〜3億年たって、星が生まれ始めました。ファーストスターの誕生です。星は太陽の100分の1程度の大きさでした。星のまわりには大量の温かいガスが存在し,それらが星の中心にむかって落ち込んでいったので小さな星はすぐに成長し,巨大な星になりました。太陽の100倍以上です。

恒星
 星は内部で核融合反応をおこし、軽い元素からい元素を合成し,その際に発生するエネルギーによって自重を支えていました。重元素は星の中で合成され,核融合がとまり、超新星爆発をおこして宇宙空間へ重い元素を放出しました。
 ファースト・スターは,単なる一番星ではなく、重い元素は私たちの起源につながる重要な事柄で、地球の成分の鉄やケイ素,マグネシウムなどを作ったことになり、生命の誕生につながりました。  宇宙年齢3億年の頃の物質分布.色の濃い部分にガスが集まって密度が高くなっており,網目状構造の節点にあたる部分に「星のゆりかご」ができています。
画像 星のゆりかご

宇宙望遠鏡「ガイア」
 宇宙望遠鏡「ガイア(Gaia)」はこのほど、天の川銀河にある10億個以上の恒星の「革新的な」立体(3D)地図を制作した。地球からの距離や色、宇宙空間での動きなどもわかるという。  待望のこの地図は、地球から約150万キロメートル離れた見晴らしのいい宇宙空間でガイアが収集した約17億個の恒星に関するデータをまとめたもの。
 2013年に打ち上げられたガイアは、翌年運用を開始し、毎分10万個の星のデータを収集。これは、1日当たり約5億回の測定が行われている計算になる。最初の地図は、1年分に相当する約11億5000万個の星の観察記録を基にしたもので、2016年9月に公開された。
 2018年4月に公開された地図には、17億個の恒星が描かれており、「空のどこに位置するかや明るさの等級について、非常に高い精度で表せるようになっている。
 これらのデータを使えば、「夜空全体の地図を作ることも可能」となり。その結果は「驚くべきもの」になるだろうと予想。移動する天の川銀河全体を見ることができるという。
画像 天の川銀河全体

小柴昌俊さん逝去
1987年2月23日、カミオカンデはこの仕組みによって、大マゼラン星雲でおきた超新星爆発 (SN 1987A) で生じたニュートリノを偶発的に世界で初めて検出しました。この功績により、2002年小柴昌俊東大特別栄誉教授は、ノーベル物理学賞を受賞されました。ニュートリノ天文学を切り拓いた方です。なお、氏が東京大学を退官する1カ月前のことでした。
 小柴さんの政治力が中曽根内閣を動かして建設にいたりました。現在建設課が望まれている国際リニアコライダー(ILC)は、全長30kmを超える直線の地下トンネルの中に設置される線形加速器で、トンネルの中央で電子と陽電子を衝突させる実験装置です。白神山地が有力な候補地ですが、中曽根さんを越える総理大臣はでませんね。
画像 超新星爆発とそこから来たニュートリノの初めての観測データです。

ヘリウム3
 ヘリウム3はヘリウムの同位体で、原子核は陽子2個と中性子1個で、ヘリウムより中性子が一つ少ないのです。重水素は、原子核が陽子と中性子が一つづつで、水素の原子核に中性子をくっつけた原子です。
 太陽風の中にヘリウム3があり、月には大気がないので、月面に蓄積されています。二重水素は地球の水の0.015%に含まれており、ほぼ無尽蔵と言えます。この二つの原子で核融合をさせれば、無尽蔵のエネルギーを得ることができます。宇宙旅行も、これを使えばたやすくエネルギーを持っていけます。
 但し、これに使える核融合炉ができるまでには半世紀はかかると予想されています。

 大いなる炭素循環
 人間は一人あたり約12kgの炭素を持ち歩いています。これは自然の中の食べ物から取り込んだものです。地球にある炭素の90%は地中にあります。地中に微生物が繁栄していて、それらがもつ炭素の総量は、77億人の人類がもつ炭素質量の合計の400倍に上ります。
  植物や動物に由来する炭素は、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むプロセスにより、数億年の歳月をかけて地中深くに潜って行きます。それは、かつて生物の一部だった炭素が、地下410kn〜660kmで形成されたダイヤモンドの中から見つかっていることでわかります。地中に取り込まれた炭素は、長い時間がたてば、ダイヤモンドや岩石、火山ガス中の二酸化炭素となって、再び地表に戻ってきます

ダイヤモンド惑星 世界の政府の赤字を一掃してお釣りがでます。
 宝石のような惑星は、北天の星座かに座に位置し、地球からわずか40光年と近い距離にあります。暗い夜空では、55番星eの主星が肉眼でもはっきりと見えるそうです。
 この「かに座55番星e」は、大きさが地球のわずか2倍、質量は8倍の岩石惑星です。表面温度は生物が居住できない摂氏2150度です。これは、ダイヤモンドが生成されるのに最適な条件になっており、組成が炭素だということです。地球ではこの温度になっても、地殻はケイ素が主で、ガラスしかできません。
 ダイヤモンドでできた惑星は、その存在を示す証拠が宇宙で見つかったというのは驚くべきことのようです。

北極
 地球の北極点と南極点を結ぶように地中を貫く地軸は、約23.4度傾いていおり、この傾きと、地球が太陽の周りを公転する位置の関係が、地上に季節を生み出しています。
 この地球の自転軸を北極側に宇宙に延長しますと天の北極に突き当たります。現在は北極星の近くになります。この線は傾きながら、2万6千年周期で円周を描きながら歳差運動をしています。

 約1万年後 琴座のヴガが北極星になります。ベガは七夕のおりひめ星、織女星です。ベガと、はくちょう座α星のデネブ、わし座α星のアルタイル(七夕のひこ星、牽牛星)の3つの1等星で、夏の大三角をなしています。細長い大きな三角形です。8月上旬にはよく見えて、9月になると、天頂近くに来て、周辺の条件が良ければ空を縦断する天の川も見ることができます。
画像 地球の自転軸

すばる望遠鏡
 ハワいのマウナケア山頂(標高4,200m)にすばる望遠鏡があります。日本の国立天文台が運営する天体観測施設です。山頂の気圧は平地の3分の2、地上の天候に影響されない高で、快晴の日が多く、乾燥しており、都市の光もなく、絶好の観測環境にあります。
 天体の光を集める反射鏡は口径8.2 メートル、厚さは20 センチ、重さは22.8 トンもあります。鏡は261本の差さえ棒でコントロールされ、重力による歪みを解消するようになっています。
 東大の研究者を中心とするチームは、129.1 億光年先、即ちビッグバン後わずか 7.5 億年後誕生して間もない、きわめて活発に星を生んでいる銀河 GN-108036 (写真右上赤い銀河)を発見しました。この銀河では毎年太陽 100 個分のガスから星が生まれており、宇宙の同時代にこれまで見つかっている他の銀河とは比べものにならないほど多産です。
画像 すばる望遠鏡 GN-108036

カムイ
 国際天文学連合という組織があります。2006年には惑星だった冥王星を格下げして凖惑星にしました。ここが「太陽系外惑星命名キャンペーン」を行い、日本からはすばる望遠鏡と岡山天体物理観測所 (当時) の188 センチメートル反射望遠鏡で発見した かんむり座の近くにある太陽系外惑星系に対して、恒星に「カムイ」、惑星に「ちゅら」という名前が付けられることになりました。
 カムイはアイヌ語で「神」を意味し、ちゅらは沖縄・琉球語で「自然の美しさ」を意味します。

はやぶさ2見事に帰還
「はやぶさ2」が目指す小惑星はリュウグウ (162173) です。太陽系が生まれた頃(今から約46億年前)の水や有機物が、今でも残されていると考えられています。
打ち上げ日 2014年12月3日 6年前の一昨日です。
タッチダウン 2019年2月22日、2019年7月11日
小惑星出発 2019年11月13日
2020年  カプセル切り離し???:12月5日午後2時30分
次の小惑星への軌道変更:12月5日午後3時30分〜午後6時
 はやぶさ2号は地球の重力を利用して加速し、2031年に地球と火星の間を回る小惑星「1998KY26」に着陸する予定です。
それまで生き長らえるのは無理だな。

冥王星は野尻抱影が命名
 2006年までは太陽系第9惑星とされていた冥王星は凖惑星に格下げされました。冥王星は月の直径(3,474キロ)よりも小さい星で、衛星のカロンは直径が冥王星の半分以上あります。冥王星と衛星カロンと常に同じ面を向け合いながらどちらも同じ周期で自転、カロンは衛星ですから公転しています。冥王星から見るとカロンは空の一点に常に同じ面を向けたまま止まっているように見えるのです。カロンからも同じですね。
 奇しくも2006年に打ち上げられたNASAの探査機・ニューホライズンズは冥王星の地下には海が存在し、生命が潜んでいる可能性をも探査して来ました。極寒の冥王星に何故か、冥王星には46億年前に形成されたときの名残である放射熱があり、それは液体の水を宿すには十分なもののようです。冥王星の地下の岩石からは大量の放射熱が発生し、数百キロもある分厚い氷がおあつらえの断熱材として機能しているのです。


遊星
『小学生の頃、京大の火山天文台長だった宮本正太郎先生の『初等天文学』でしたか、天文学の児童書を読んだ記憶があります。その中で「遊星」という言葉で、今の惑星を表現していました。東大は「惑星」でした。共に江戸時代からの言葉です。余談ですが邪馬台国の所在地論争でも京大は近畿説、東大は九州説とわかれるようです。  
『日本書紀』、『続日本紀』などに惑星の古来の呼び方が出てきます。
『水星……辰星(しんせい)
『金星……太白(たいはく) 宵の明星、明けの明星、天津甕星
『火星……?惑(けいわく)ほのをぼし
『木星……太歳(たいさい)歳星(さいせい)
『土星……填星(てんせい)鎮星(ちんせい)  
『水金地火木土の名
『 中国からです。中国ではこの世界を形づくっている要素は5つあるとされていました。その要素とは、木、火、土、金、水です。このような世界観を、五行説とよんでいました。五行説は広く浸透し、後には暦(こよみ)のよび方にも使われるようになりました。日本では曜日にも使っていますが、中国では星期天、星期一など数字を使っています。
『画像 五行説

12
銀河中心部から銀河円盤の外まではじき飛ばされた超高速星
二つの星がペアーを組んでいるのを連星といいます。連星が銀河中心の超巨大質量ブラックホールに近づいて1個がその重力につかまり、もう1つが銀河の外れにはじき飛ばされてしまうことがあるようです。
 中国・興隆県の「らもうすと反射望遠鏡」で天の川銀河の恒星の分布を調査していたところ、太陽系との相対速度が天の川銀河の通常の恒星の3倍近い、時速220万kmで移動する星を発見しました。この天体「らもうすと-HVS1」は地球から見ると、かに座方向約4万2400光年彼方にあります。天の川銀河の中心からは6万2000光年の距離にあり、直径約10万光年の銀河円盤からは外れた場所に位置しています。
 星がはじき飛ばされる現象が起こるのは10万年に1回程度のようです。

スイングバイ
はやぶさ2号は打ち上げられてから約1年間、地球と併行して飛びつづけ、地球の公転速度(太陽の周りを廻る速度)の秒速28kmを頂き、小惑星りゅうぐうに飛んでいきました。
 りゅうぐうの岩石がはいったカプセルを地球に送り届けてから、第二の使命を果たすために、スイングバイ即ち地球を利用して方向を変えて、速度を秒速1.6kmアップしました。
 これらを行うと地球から僅かですがエネルギーを採りましたので、地球の速度は極若干遅くなったはずです。毎日降り注ぐ流れ星も加速したり減速したりしています。
画像 加速スイング 地球とはやぶさ2号

宇宙の噴水
日本が南米チリの標高5,000mの高地に建設し、2011年から観測を開始したこの巨大望遠鏡のアルマ電波望遠鏡で「宇宙の噴水」と称する二つの星がペアーになっている連星の最後の姿を捉えてきました。
 天体W43Aとは、地球から見るとわし座の方向に7,200光年離れている年老いた星を含む連星です。アルマ望遠鏡による観測の結果、年老いた星から噴き出すジェットからの電波放射と、その周囲の塵の広がりをこれまでにないほど鮮明に捉えることに成功しました。この現象の鍵となるジェットの継続時間は100年未満と考えられており、星々の寿命に対して数百万分の1以下と大変短いのです。1000億個以上の星が存在する天の川銀河の中でも、この段階にある連星系はこれまでの観測で15例しかありません。

宇宙初期のブラックホール
地球から約 130億光年離れた宇宙に、83個もの巨大ブラックホールが発見されました。巨大ブラックホールが宇宙誕生から10億年足らずという間もない時期から存在していたことを示す、た いへん重要な知見です。巨大ブラックホールを見つけるには、それが周囲の物質を飲み込む過程で明るく輝くクェーサーを探す方法が効率的です。発見されるのは、現在の宇宙では珍しいような、最重量級の巨大ブラックホールによる最も明るいクェーサーに限られていました。
 誕生後の宇宙には巨大恒星が多くできました。これらが超新星爆発後にブラックホールができ、これらが合体して巨大ブラックホールが出来たものと思われます。
画像 宇宙初期のクエサー

宇宙の晴れ後薄曇り
宇宙の晴れ後薄曇り
 宇宙の晴れ上がりの後でチョット曇ったようです  宇宙誕生直後には、水素は水素にならず陽子と電子に分かれた電離状態(プラズマ)にありました。次に宇宙は膨張とともに冷え,40万歳の頃,電子が陽子に捕えられて水素原子ができ,宇宙は電気的に中性になり、光が自由に飛べるようになりました。これを宇宙の晴れあがりと言います。所が宇宙は遅くとも10億歳になるまでに再び電離し,現在もその状態を保っています。原子が再電離を起こすには,何らかの天体から,水素原子をばらばらにできる高エネルギーの紫外線を宇宙空間に大量に放射しなければできません。この力は宇宙の初代の銀河で生まれたひじょうに重い星のエネルギーかも知れません。

地中海の塩
 地中海の一番深いところに何と1000mの厚さの塩があることがわかりました。塩の盆地は海抜マイナス2000mでとても高温になり、その温度はなんと200℃にもなり、この理由は分かっていません。
 塩の比重は2.16、1uに2160kgの塩があることになります。海水の深さを2000m、塩分濃度3.5%と想定しますと、70kgの塩がとれます。2160kgの塩は31回の干上がりの蒸発が必要です。
 このあたりはモロッコからの乾燥しきった熱風が吹き、おそらく何10万年の間に行われたのでしょう。地中海と大西洋をつなぐジブラルタル海峡があまり深くなかったのでしょう。

宇宙の膨張
 宇宙が膨張していることを発見したのは、アメリカのハッブルで1929年のことでした。
 セファイド変光星は、太陽の明るさの約1万倍と明るいため遠くからでも良く見えます。変光周期は1週間から1ヶ月。そしてセファイド変光星の場合には、本当の明るさと変光周期の間に関係があり、変光周期が長いものほど明るいという性質があります。この星までの距離は明るさと周期でわかります。それぞれの銀河にこの変光星があり、銀河までの距離がわかります。また、星の色の赤方偏移(遠ざかる際波長が延びて赤くなること)を利用して、遠ざかる速度を測り、遠い銀河ほど速い速度で遠ざかっていることを発見しました。これをハップルの法則といいます。
 遠ざかっていく加減を逆にしますと、一点に集まります。これが宇宙の始まりとなります。宇宙の年齢もわかります。当初の計算は一桁違っていたそうです。
画像 宇宙の膨張

小豆島は牛の形に似ていませんか?
 『備前国風土記逸文』「神功皇后が備前の国の海上を航海している時、大きな牛がいて船をひっくり返そうとした。その時、住吉明神が老翁の姿となって現れ、牛を投げたおした。故にその所を名付けて牛轉(まろび)と言った。訛って牛窓になった。」 大阪の住吉大社の真西が岡山の牛窓になります。しかしその手前に小豆島があり、これが牛の形に似ていると思います。
画像 小豆島『八幡縁起絵巻』の牛轉の絵

暗黒星雲
 星と星との間にはガスがあり、塵(ちり)も含まれています。この星間塵は、背景にある恒星からの光をさえぎってしてしまうため、恒星を背景としてシルエットのように星間ガス雲が浮かび上がります。このような天体を暗黒星雲と呼びます。
 ガス雲は非常な低温になっており、零下約260度Cしかありません。このように低温で密度の高い星間雲の中には、さまざまな分子が存在しています。水、一酸化炭素、アンモニア、メタン、アルコールなど多くの分子が電波の観測などから見つかっています。
 有名な暗黒星雲は、馬頭星雲です。オリオン座の三ツ星の東端にあるζ星の近くです。宇宙にも観音様がいらっしゃる。

がか座衛星
 がか座β星bは、地球から63光年離れた、がか座β星を公転する惑星です。その大きさは木星の1.65倍、質量は木星の7倍で、2008年にヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)で惑星からの光を直接捉える直接撮像によって発見されました。太陽系外の惑星の撮影は珍しいことです。
 この惑星が自転するとき、ドップラー効果で惑星表面のうち観測者から遠ざかる部分からの光の波長は長く、反対に近づく部分からの光の波長は短くなります。この波長の変化(ドップラーシフト)を分光観測によって求めた結果、がか座β星bは8時間の周期で自転しており、赤道面での自転速度は時速100,000kmであることがわかりました。
 がか座β星の年齢は2000千万年と若く、その周りには1000天文単位にわたり塵円盤が広がっていて、まさに惑星形成が進行中の惑星系と言えます。
 若いい惑星系は、45億年前に太陽系で何が起きていたかを知る上で非常に重要な研究対象です。
画像 がか座β星

キャッツアイ星雲
 キャッツアイ星雲は りゅう座の近くの距離約2000〜3000光年先にある"惑星状星雲"です。惑星状」といっても、惑星とは何の関係もなく、太陽くらいの質量の恒星が最期に迎える死の姿です。望遠鏡で見ると普通の星とは違い、惑星のように丸く円盤状に見えたため「惑星状」と名づけられました。
 太陽よりも8倍以上重い恒星はその最期に華々しく爆発して死んで行きますが、 太陽くらいの質量の恒星の場合は徐々に外側を宇宙空間に放出して広がっていき、ガスが中心に残る高温の星の芯「白色矮星」からの紫外線によって 光っているのが「惑星状星雲」です。
 「惑星状星雲」はきわめて個性的で、どれ一つとして似たような姿にはなりません。 どうしてこのような多様な姿になるのかは、伴星の影響、磁場の影響、自転の影響、 などさまざまな説が提案されていますが、決着は付いていません。

超新星爆発の記録
 「超新星爆発」は太陽の8倍以上の重さを持つ恒星が、自らが持つすべての燃料を燃やし尽くしてしまった後に、自分自身の重さを支えきれなくなって起こす爆発です。星の最期の姿を「超新星」というのは、突然現れる明るい星ですが、実際には爆発によって宇宙に散らばったガスやチリが次の世代の星の「原料」になるのです。
 百人一首で有名な藤原定家(1162〜1241)は星に関心を持っており、1230年に彗星を見ています。この彗星は陰陽師・安倍吉昌(安倍晴明の息子)によって観測され,定家の『明月記』には「大客星」と記されています。安倍氏に記録されていた過去の客星を『明月記』に記載しています。超新星爆発の記録をアップします。
明月記の記載 ユリウス暦  超新星名 発生星座  超新星残骸
寛弘三年  1006年 SN 1006  おおかみ座 PKS 1459-41
天喜二年   1054年 SN 1054  おうし座 かに星雲 (M1)
治承五年  1181年 SN 1181  カシオペヤ座  3C
画像 定家

超大質量ブラックホールの輝き
 天の川銀河の中央にある超大質量ブラックホールが、2014年と2018年に突然輝いた。科学者たちがこれまで20年にわたって観測してきた中で、見たことのないほどの明るさだった。
原因は分かっていないが、これらの年にブラックホールの近くを通過した2つの物体が関係していると見られている。
 天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホールは普段は静かだが、2019年5月にこれまで前例がないほどの赤外線放射があり、天文学者を驚かせた。
 地球に最も近い超大質量ブラックホールは、いて座A*(エー・スター)と呼ばれる。これが5月に突然、近赤外線領域で2時間にわたって通常の75倍の明るさで輝いたことを、ある研究者チームが発見した。原因は分かっていない。

天の川銀河の中心
 天の川銀河の中心には「いて座A*」と呼ばれる超大質量ブラックホールが存在すると考えられています。いて座A*の周りはガスと塵からなるハロー(希薄な星間物質)が取り巻いており、質量の大きな星が誕生する格好の場所となっている。ここで生まれた大質量星は数億年から数千万年という短い一生の最期に超新星爆発を起こし、ブラックホールになります。
 超大質量ブラックホールに捕まったブラックホールの大半は単独のままだが、一部は近くの恒星を捕まえて連星となります。天の川銀河の中心部にはこのような、単独もしくは恒星との連星になったブラックホールがたくさん集まっていて、中心の超大質量ブラックホールに近い場所ほど密度が高い状態になり、可視光線で見ることができません。ガンマ線やX線で調べています。
画像 銀河イメージ

真上から見られる回転花火銀河
 米航空宇宙局(NASA)は2012年5月25日、おおぐま座にある渦巻銀河M101(回転花火銀河)の赤外線、可視光線、紫外線、X線の観測データを合成した画像を公開しました。若い星と古い星が、渦巻きの腕部にほぼ均等に分布しています。
 画像の赤い部分はスピッツァー宇宙望遠鏡(2020年1月まで稼働)が撮影した赤外線画像で、銀河内の星が形成される場所でちりの集まりが発する熱を示します。
 黄色い部分はハッブル宇宙望遠鏡が捉えた可視光線。そのほとんどは星が放つ光で、赤外線画像に見られるものとほぼ同じ渦巻き状になっています。
 青い部分は、約100万年前にできた温度が高い若い星が発した紫外線で、銀河進化探査衛星GALEXが撮影したもの。
 紫色の部分は最も高温で、星が爆発したときに発生する数百万度ものガスなどの物質がブラックホールの周囲で衝突していることを示す。チャンドラX線観測衛星が撮影した。
 「回転花火銀河」の直径は約17万光年で、天の川銀河より70%ほど大きい。地球からの距離は2100万光年。つまり2100万年前に回転花火銀河から放たれた光を目にしているということになります。
画像 回転花火銀河

アエンデ隕石
 アエンデ隕石は、1969年2月8日の午前1時頃、メキシコのチワワ州にあるアエンデ村に、数千個の破片に分裂して落下しました。アエンデ村近辺には、アエンデ隕石以外にも、巨大な隕石が落下しています。隕石の落下地点を地図に示しました。緑色の領域がアエンデ隕石が落下した地域です。赤い星が別の隕石の落下地点です。モリト隕石は重さが10.1トンの鉄隕石で、1600年頃に発見されました。アダルガス隕石も同じ頃に発見された鉄隕石で、3.4トンの重さです。チュパデロス隕石は14トンと6.7トンの鉄隕石で、1852年に見つかっています。この3つの隕石は名前が異なっていますが、同じ隕石が落下の途中に分裂したものです。アエンデ村近辺には巨大な隕石が2回も落下したことになります。この様な地域は世界的にも希です。アエンデ村のあるチワワ州は、犬のチワワの原産地です。隕石もチワワの目に引きつけられたのかもしれませんね。 画像 アエンデ地図