神奈備の物理雑談 4

宇宙が生まれる
 宇宙は極小の状態で現れたり消えたりしながら存在していましたが、あるタイミングで消えずに現れたまま大きくなり始めました。宇宙の元になった存在は、前世の宇宙が巨大ブラックホールになり、それが縮んで極小になったものと思われます。
 超ひも理論によれば、誕生後の宇宙は9次元空間で、膨張の途中に6次元部分は置いてきぼりになり、3次元部分の三つの方向に急膨張を続けて行くことのなります。
画像 9次元

ビッグバン 10^-32秒後 からから10秒後  
 小さかった宇宙が膨張しつつ始まったとするアイディアは、ベルギーの天文学者のジョルジュ・ルメートルによって指摘されていましたが、宇宙が膨張しているといる観測的な証拠を提示したことになります。ルメートルの宇宙モデルをさらに発展させたジョージ・ガモフは、ビッグバンのはじめに一気に元素が作られたとする元素合成史モデルを提唱します。ガモフは、もしビッグバンが起きていれば、その時の残り火が絶対温度5度の宇宙背景輻射として観測されるだろうと予言しました。
 ガモフの予言からおくれること16年、ベル研究所の二人は宇宙全体から等方的にやってくる電波の存在に気がつきました。電波の強度スペクトルは絶対温度3度であることが分かりました。これにより、ビッグバン宇宙論はその地位を不動のものとしたのです。

宇宙背景放射
 1965年、アメリカのベル電話研究所の電波科学者二人は、宇宙のあらゆる方向からやってくるマイクロ波の電波雑音をとらえました。昔の白黒テレビの放送終了後の雑音の一部です。これが宇宙背景放射で、波長1ミリメートルあたりがもっとも強く、そのスペクトルは絶対温度3℃(3K)、つまり-270℃の黒体放射でした。とても密度が高く熱いものだった昔の宇宙がその膨張につれて温度が下がり、3Kまで冷えたと解釈できることから、ビッグバン宇宙論を支持する論拠となっています。
 ビッグバン後、プラズマ状態であった宇宙が膨張を続け、温度が下がり、プラズマ状態から分子ができ始め、飛び交っていた電子が原子核に取り込まれていき、宇宙は透明になりました。宇宙の晴れ上がりといいます。封じ込められていた光が全方向に飛び出し、それが背景放射としてクアッチされています。
画像 宇宙背景放射 球の中心に地球と思ってください。

第一世代の星 ビッグバン1〜3億年後
 宇宙で最初に生まれた星は第一世代星ファーストスターと呼ばれています。第一世代の星を構成する物質のほぼすべてが水素とヘリウムによって占められており、重い元素は含まれていないのが特徴です。このような星の存在は理論的に予言されるものですが、実際にはまだ見つかっていません。その誕生の様子が、スーパーコンピュータを使ったシミュレーションによって研究されています。
 ビッグバンからおよそ38万年後には宇宙が晴れ上がり、初めて水素とヘリウムの原子とがこの宇宙に現れます。ダークマターも存在しています。原子はお互いの引力によってだんだんと寄り集まり、水素分子となるような分子の雲を形成し始めます。分子雲の中には、周りの分子雲よりもさらに密度の高い分子雲コアが形成され、その中心では原始星が産声を上げます。周辺のガスを取り込みながらさらに成長を続け、太陽の10倍〜100倍もあるような大質量星として宇宙空間に出現するのです。このような第一世代の大質量星は、数百万年から数千万年程度ですぐに超新星爆発を起こし、さまざまな重い元素を宇宙空間へばらまき、それらの物質が第二世代の星の材料となっていったと考えられます。
画像 第一世代星

初期の銀河
 ビッグバン直後の宇宙は非常に均質でした。これは宇宙マイクロ波背景放射の観測で確認できます。ゆらぎは10万分の1以下です。この頃、宇宙にはほとんど構造はなく、銀河もなかった。そのため、「初期の滑らかで均質な宇宙から、どのようにして今日のような不均質な宇宙が生じたのか?」という疑問が生じます。
 このような構造が生じた過程に関する、近年の最も受け入れられた仮説(理論)は、「今日見られる全ての構造は、初期の宇宙の密度のわずかな不均一性(『初期ゆらぎ』)から生じた」とするものです。
 1995年12月,ハッブル宇宙望遠鏡は,北斗七星の近くの領域で,まるで宝石箱をひっくり返したような情景を撮影しました。そこに写っていたものは,宇宙誕生から20〜30億年しか経っていない初期宇宙の銀河たちでした。

130億光年かなたの宇宙に銀河団を発見
 地球から 130 億光年かなたの宇宙に 12 個の銀河からなる「原始銀河団」を発見しました。これは現在知られている中で最も遠い原始銀河団です。宇宙年齢が8億年の時代の初期宇宙に、活発に星を作りながら成長する原始銀河団が存在したことを示す、重要な成果です。
図: 今回発見された観測史上最も遠方にある原始銀河団 (z66OD 原始銀河団) の擬似カラー画像。 すばる望遠鏡による3色の観測データを合成することで、画像に色をつけています。青色の部分が z66OD 原始銀河団で、青色の濃さは原始銀河団を構成する銀河の天球面密度を表しています。拡大図の中心にある赤い天体が、原始銀河団に存在する 12 個の銀河です。
 現在の宇宙には、10 個程度の巨大な銀河を含む 1000 個程度の銀河の集まった「銀河団」が存在しています。この銀河団は宇宙で最も質量の大きな天体であり、銀河団同士はお互いに結びつき合ってさらに大きな構造 (宇宙の大規模構造) を作っています。そのため銀河団は宇宙の構造の要であり、138 億年の長い宇宙の歴史の中でどのように銀河団ができていったのかは天文学における重要な問題です。

宇宙の主役、ダークマター
 目には見えないけれど、確かにそこにある謎の存在、ダークマター。光も電波も発することがないため、現在の私たちの観測手法では直接検出することができませんが、ダークマターが持つ質量によって引き起こされるいくつかの現象を通じてその存在が推測されています。
 例えば、渦巻銀河では明るさから計算される質量より、星々が銀河中を運動する速度から求めた質量のほうがはるかに大きいことが知られています。また、銀河団の質量は、構成する各銀河の明るさから推定される質量よりも、各銀河の運動から求めた質量のほうがずっと大きいことも分かっています。宇宙において、ダークマターは私たちがふだん目にする物質よりもはるかに重要な役割を担っているのです。
 私たちに知られていない未知の物質がダークマターの正体である可能性が大きく、現在研究が盛んに行われています。

宇宙の暗黒エネルギーに新説
 大胆な理論予想を発表したのは東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構の大栗博司機構長と米ハーバード大学のカムラン・バッファ教授らの「超弦理論」で世界をリードする研究グループ。昨夏に論文が出て以来、世界の理論研究者の間で賛否両論が巻き起こっている。
 宇宙は約138億年前の誕生以来、膨張を続けているが、膨大な物質が及ぼす重力の作用で、膨張速度は次第に低下していくと考えられていた。ところが約20年前、実際には宇宙膨張は加速していることが判明。宇宙には重力を上回る斥力が作用していることがわかり、その斥力を生み出す未知の存在は暗黒エネルギーと呼ばれるようになった。空間の持つ潜熱のようなもの。
 これまでの研究によると、暗黒エネルギーは宇宙のあらゆる場所に等しく存在し、そのエネルギー密度は時間変化しない、つまり永久不変だと考えられていました。
 ところが大栗博士らの理論予想によれば、暗黒エネルギーの密度は時間とともに減少していくことになります。やがて膨張は止まり、縮小に転じるかもしれません。

宇宙の果て
 我々はこの宇宙図の右側の円盤の中央にいることになります。左側が宇宙開闢のポイントで、空間と時間の始まりです。
 一つの宇宙の果てと言えるでしょうが、時間を遡れませんので昔話になりますね。我々のポイントから宇宙開闢のポイントを見ようとそますと、全天に広がっているように見えています。
 現在の宇宙の果てですが、宇宙図の右側の円の端となりますが、この図は平面的に描かれており、本来は3次元のはずです。右側の円盤は三次元の球体と考えられます。球体には境界はありませんので、現在の宇宙には境界はないと言えます。
 この図で言は、右側の右は未来となります。

宇宙の最後 ビッグリップ
 宇宙の全エネルギーの約68%を占めている「ダークエネルギー」と呼ばれる空間尾のエネルギーで、宇宙の膨張で空間が広がっても密度が減らないとされています。絶対量が増え続けていることになります。だから、ダークエネルギーは宇宙の膨張を加速させていると考えられています。
 これが続きますと、宇宙全体が素粒子レベルでバラバラになってしまう「ビッグリップ」という現象で宇宙が引き裂かれて終わってしまうと予想されています。

宇宙の最後 ビッグクランチ
 ダークエネルギーの密度が減って来る場合、膨張を続けている宇宙が、ある時点で膨張から収縮に転じ、最終的に特異点に収縮してしまうという考え方が「ビッグクランチ」です。この特異点は宇宙の終わりだけではなく、新しい宇宙の始まりに繋がるのではないかと考える科学者も存在します。
 どちらにしても、数百億年〜数千億年後のことです。

ガンマ線バースト
 宇宙最大の爆発現象であるガンマ線バーストでは、太陽が数十億年もかけて放射する以上の莫大なエネルギーがわずか数秒から数分程度の間に放出します。バーストの瞬間には、可視光線の数千倍から数百万倍のエネルギーを持つガンマ線(短い波長の放射線)が主に放射され、その後には急激に暗くなり弱く光る残光が可視光線やX線で観測されます。
 ガンマ線バーストの発生のメカニズムとしては、大質量星の中心核が重力崩壊を起こしてブラックホールが形成され、その周辺に残ったガスが中心のブラックホールへと落ち込むことで周囲に円盤ができ、同時に円盤の垂直方向にほぼ光速の速さで噴出するプラズマ流「相対論的ジェット」が生じて、そこからガンマ線の閃光が放たれた、と解釈されています。 画像 ガンマ線バースト

超光速ジェット
 宇宙ジェットとは、重力天体を中心として細く絞られたプラズマガスなどが一方向又は双方向に噴出する現象をいいます。重力天体周辺の激しい天体活動がジェットを高速に加速すると考えられ、宇宙ジェットの中心となる重力天体には、原始星、白色矮星、中性子星、大質量ブラックホールなどの場合があります。この現象は、ブラックホール近傍で特徴的に見られるため、ブラックホールが存在する証拠としてしばしば用いられます。 それに比べ、原始星の形成期に見られる宇宙ジェットは比較的小規模です。
 星間物質などがブラックホールに吸い込まれる際にはしばしば、ブラックホールの周りに降着円盤と呼ばれる円盤状の雲が作られます。これに伴って、円盤の軸方向に超高速で脱出していく星間物質がしばしば観測されます。

マルチメッセンジャー天文学
 宇宙の物体が出すさまざまな信号、電磁波、重力波、ニュートリノ、宇宙線などを協調して観測することで行う天文学です。この天文学の対象として想定されるのは、ブラックホール連星や中性子星連星、超新星爆発、特殊な中性子星、ガンマ線バースト、活動銀河核(銀河の中心部の小さな領域が異常に明るく光るもの)および高エネルギージェット(ブラックホールから出るジェット)です。
成果
 1987年・超新星1987Aが発生。ニュートリノ検出器カミオカンデ、光学望遠鏡の他、アーバイン=ミシガン=ブルックヘブンなどでニュートリノが検出されました。
2017年:銀河NGC 4993で起きた中性子星連星の合体により、重力波GW170817が発生。重力波望遠鏡LIGO、Virgoによって重力波が検出されました。その1.7秒後にフェルミガンマ線宇宙望遠鏡とインテグラルによってガンマ線バーストGRB 170817Aが発見されました。さらに11時間後、ラスカンパナス天文台によって光学対応天体が同定されました。
画像 超新星1987Aの発生前後

星の質量はさまざま
 太陽の質量(重さ)は地球の質量の約33万倍(1.9891×10??kg、2兆kgの1兆倍のさらに100万倍もある巨大な星ですが、宇宙には太陽より100倍も重い星もあれば逆に太陽の1割にも満たない軽い星もあります。質量の大きい星ほど数が少なく、質量の小さい星ほど数が多いことが分かっています。(これを1/f ゆらぎと言います。大木の本数は少なく、小さい木の本数は多いという自然現象) このような質量の違いはどのようにして決まるのか、今も研究が続けられています。
 質量によって星の一生は決まります。
 質量の小さい星ほど寿命が長く、質量の大きい星ほど短い期間で死に至ります。太陽と同じくらいの質量をもつ星の寿命はおよそ100億年と考えられています。私たちの太陽は誕生してから約46億年が経っているので、およそ一生の半分くらい過ぎたことになります。一方、太陽の10倍の質量をもつ星の一生はおよそ1,000万年程度です

地球の重さ
 二つの鉄球とねじり天秤を使って、その間の距離と回転を利用して重力の働き方を測定して、万有引力定数を求めることができます。
 地球の質量(重さ)を測る。
地球の質量を測るには、質量の分かった物体を落としてみて、その加速度を測れば、それが地球からひかれている引力即ち万有引力ですので、万有引力の公式
 万有引力=万有引力定数×物体の質量×地球の質量÷物体の重心と地球の重心の間の距離の二乗 を使って地球の重さを求めることが出来ます。
リンク ねじり天秤  
https://www.mozaweb.com/ja/Extra-3D-TianCheng-206308

赤ちゃん星の誕生
このように星間物質がたくさん存在しているところでは、何らかの原因で星間物質の密度にむらができます。そのような場所では重力が強くなり、さらに周りの物質を引きつけてどんどん成長していきます。このとき中心に向かって落ちていく物質の重力エネルギーが中心部をあたため、赤外線を出すようになります。これが原始星の誕生です。原始星の周りにはこれから原始星へと降り積もっていく星間物質がたくさんあるので、波長の短い可視光はそれらの物質にさえぎられてしまい外に出てくることができません。このようなとても若い天体の観測には、あたためられた塵が出す赤外線や、分子ガスから出る電波を使います。
 原始星に見られる特徴として、原始星から勢いよく噴き出すガスの流れ「ジェット」があります。速いものでは秒速100kmにも達し、数光年の距離にわたって飛んでいくものもあります。このジェットを研究することで原始星の年齢や進化の様子を調べることができます。
画像 原始星

宇宙の始まりから宇宙の晴れ上がり
 私たちの宇宙はビッグバンで生まれました。誕生直後の宇宙は約1,000億度もの超高温でしたが、膨張にともなって徐々に冷えていきました。誕生から約38万年が経つ頃、約3,000度にまで冷えた宇宙では、電子が陽子に捕らえられ、水素やヘリウムといった物質が作られます。それまで電子に散乱されていた光は、この時から直進できるようになりました。これは「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれ、この時の光は「宇宙背景放射」として現在観測されています。その観測結果から、宇宙の晴れ上がりの時の物質の分布は、ほとんど一様だったことが分かっています。この時の宇宙の大きさは半径4300万光年でした。
画像 宇宙の晴れ上がり

重力不安定
 宇宙では、重力が多くの現象を決定する力となっています。宇宙の晴れ上がりのときに誕生した水素やヘリウムは、重力によって引き合い、互いに集まっていきます。このとき、元々 物質の密度が高いところでは、周りより重力が強いため、周りから原子を集めてさらに密度が高くなります。逆に密度が低いところは、さらに密度が低くなります。このように、重力によって密度のコントラストがより強くなっていくことを「重力不安定」と呼びます。
画像 重力不安定

銀河誕生の陰の立役者ダークマター
 銀河を構成する恒星は、水素原子などから作られます。しかし、宇宙の晴れ上がりの時には物質の密度にはコントラストがほとんどなく、重力不安定で恒星を作るのにじゅうぶんな量の物質を集めるには、非常に長い時間がかかります。これでは、銀河団のような巨大な構造を宇宙の誕生から現在までの時間で作ることができないことが計算で分かっています。ここに、光とは相互作用しないために見えないダークマター(暗黒物質)があります。私たちの宇宙には、このダークマターが、水素原子など私たちのよく知る物質の約5倍もあります。ダークマターは、物質に重力を及ぼします。光とは相互作用しないため、ダークマターは宇宙の晴れ上がりより前から重力不安定で集まることができます。こうしてできたダークマターの塊の強い重力に引かれて、ようやく物質が集まることができます。

減少するダークエネルギー
 宇宙は約138億年前の誕生以来、膨張を続けていますが、膨大な物質が及ぼす重力の作用で、膨張速度は次第に低下していると考えられていました。ところが約20年前、宇宙膨張は加速していることが判明。宇宙には重力を上回る斥力が作用していることがわかり、その斥力を生み出す未知の存在は暗黒エネルギーと呼ばれるようになりました。
 これまでの研究によりますと、暗黒エネルギーは宇宙のあらゆる場所に等しく存在し、そのエネルギー密度は宇宙誕生からはるか遠い未来に至るまで時間変化しない、つまり永久不変だと考えられていました。
 ところが大栗博士らの理論予想によれば、暗黒エネルギーの密度は時間とともに減少していくことになります。暗黒エネルギーが時間とともに減少し続ける場合、遠い将来には宇宙は膨張が止まり、収縮に転じます。宇宙の運命は膨張しきってひきちぎられ、ばらばらとなるという「ビッグリップ」にならず、自身の重力によって収縮し、物質と時空がつぶれて、「ビッグクランチ」という開闢時の状態に戻ると考えられます。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/f4/Big_Crunch.gif/220px-Big_Crunch.gif

宇宙暗黒時代の終焉から銀河の誕生へ
 ダークマターの塊の中に集まった物質から宇宙で最初の恒星が誕生するのは、宇宙誕生から数億年が経った頃と考えられています。宇宙の晴れ上がり以降、最初の恒星が生まれる以前の宇宙は、光る天体がまったくなかったため、「宇宙の暗黒時代」と呼ばれています。最初の恒星の誕生は、宇宙の暗黒時代に終わりを告げる「宇宙の夜明け」といえる出来事でした。
 銀河は恒星の集団でできていますが、残念ながら、この最初の恒星がどうやってできたのか、また銀河ができるまでの道のりは、まだ解明されていません。しかし、誕生から約8億年が経過した頃の宇宙には、すでに銀河と呼べる天体が存在していることが、すばる望遠鏡などによって明らかにされています。

日震学
 太陽の振動を観測して太陽の内部の構造を探る太陽物理学の一分野。太陽はさまざまなモードで振動(太陽振動)しており,この振動を解析することで,ちょうど地震波を使って地球の内部の構造を調べるのと同じように,太陽の内部についての情報を得るのでこの名があります。太陽の自転の性質,内部の温度分布などが明らかにされており,また太陽振動についても,太陽活動の活発なときには周期がわずかながら短くなること,黒点の内側では振動の振幅が小さいことなどが見出されています。なお同じように,太陽以外の一般の恒星の固有振動を利用してその内部の構造を研究する分野は星震学と呼ばれている。
 太陽の表面はつぶつぶのグラニュールという構造で、太陽の30%ほどの深さから熱を表面に対流で運んでいることがわかりました。
画像 太陽の表面

ヒッグス粒子
 物質に重さがあるのは当たり前の事と思われますが、学者さんはこんなことにも疑問を持つようです。物質に重さを与えるヒッグス粒子を発見したアングレール氏とヒッグス氏は2013年にノーベル物理学賞を受賞しました。光子は重さがありません。電子は重さがあります。この違いは、空間はヒッグす粒子が並んでおり、素粒子はその中を通過して行くのですが、光の場合にはヒッグス粒子に邪魔されず素通りできますが、電子はヒッグス粒子にコツンとあたり邪魔をされます。
 丁度、人気スターと普通の人に対比できます。人気スターは街を歩く際、ファンが寄ってきて歩きにくいのですが、普通の人はサッサトあるけます。  電子は光の速さでは飛べないのです。これを重さがあると言います。重さとはヒッグル粒子による邪魔で生じているのです。  
ビッグルさんの論文を審査する立場にあった南部陽一郎氏が、ヒッグスさんにこのままの内容なら4番手の論文で没になりますよ。ヒッグス粒子の存在の予言をされたら採用ですとアドバイスをされたようです。もともとは南部さんの発想

地球の塩
 地球上の海水の量は約13.7億 km3です。塩分濃度は約3.5%です。塩分を固形物にしますと、日本全土に積み上げれば約30kmの分厚さになります。塩化ナトリウム(食塩)が78%、塩化マグネシウム(にがり)10%と色んな塩分が混ざっています。
 海水の塩分濃度は場所によって違います。流れ込む川が多い北極海では3%を切ります。日射による海水の蒸発の多い赤道付近やペルシャ湾・紅海では4.2%と濃いめです。アラビア半島の死海では35%以上です。
 海が地殻変動で陸に閉じ込められると塩分が干上がり、その上に土や砂が堆積してできた岩塩鉱脈があり、推定埋蔵量は数千億トンあり、現在の食塩生産量の約3分の2を占めています。
画像 塩分濃度

太陽が放出するエネルギー
 太陽は核融合のエネルギーを毎秒 3.8×10^26 ジュールの電磁波として放出しています。その約 50%は赤外線,約 40%は可視光線,約 10%は紫外線です。地球が受けるエネルギーはその約 22億分の1にすぎません。
 地球に到達した太陽光線の1時間あたりの総エネルギー量は20世紀後半の世界の1年間で消費されるエネルギーに匹敵しています。
そのエネルギーの地上での内訳は、
地上で熱に変わってしまうエネルギーは約45%
海中に蓄えられるエネルギーは20数%
風や波を動かす原動力へ変わるエネルギーは0.2%程度
光合成に使われるエネルギーは0.02%程度
宇宙へ反射してしまうエネルギーは30%程度
 人類はもっと太陽を利用する技術開発が必要だと思われます。

人工衛星の速度
 人工衛星が墜ちずに回っていられるのは、飛んでいることで生じる遠心力と重力が釣り合っているからです。高度300kmの場合、秒速7.7kmのスピードが必要です。ソ連の最初のスプートニク1967年は近日点は230kmでした。日本の最初の人工衛星は1970年で「おおすみ」の愛称で、近日点350kmでした。地球半径の3.6%から5.5%の高さで、宇宙から見るとへばりついている状態でした。
 遠心力は高いと大きいので、高さ2000kmの場合、秒速7.0kmで一周2時間程度になります。
 人工衛星を打ち上げるのはいつでもできるわけではありません。ロッケトから分離された人工衛星の太陽電池が直ぐにはたらくように、日が当たっている時間に分離しなくてはいけません。
画像 おおすみ

ロシアの隕石
2013年2月15日、直径17mの小惑星が地球の大気圏に突入。現地時間9時15分、強い閃光を放ち、煙の尾を曵きながら落下する火球がチェリャビンスク州などウラル山脈中南部一帯で観測されました。隕石の落下の痕跡で見られる煙のようなものは、隕石の表面が大気との断熱圧縮で高温となり蒸発し、それらが冷却凝固した細かい粒子が見えている隕石雲と考えられています。
 その際に放出された爆風が検出された範囲は、隕石の周囲127キロにおよびました。窓枠が部屋の中に押し込まれたような壊れ方でした。
画像 チェリャビンスク

ひまわりが撮影した隕石
 日本のひまわりが撮影した、2018年12月に北大西洋に飛来した隕石のカラー写真です。隕石は青と白の背景に対し、明るいオレンジ色の火球となってハッキリ写っています。現地時間の昼頃、隕石が32km/sで大気圏に突入してきました。それは7度という急角度でした。大きさは数mで、地面から25.6kmの高さで爆発し、その衝撃エネルギーは173キロトンにもなりました。
 地球に降り注ぐ隕石の量は一日で100トンになりますが、殆どか空中で燃え尽きてしまいます。隕石の発見は年間でわずか数個です。日本は南極で隕石を探索し、いまや世界最大の隕石保有数になっています。
画像 日本のひまわりが撮影

太陽が赤色巨星に
 太陽程度の小さい恒星の最期は派手な超新星爆発よりははるかに静かなものになります。赤色巨星へと進化した恒星は大きく膨張し、次第に外層のガスを星間空間に放出していきます。このガスが電離されて輝線として輝いているものが惑星状星雲です。惑星とは関係なく、星が死んでいく姿です。
 太陽は地球の現在の軌道を超えて大きくなりますが,しだいに質量を失っていきます。このため引力が弱まり,地球は外側にズレていきます。太陽地球間の現在の距離より2割大きくなったとき,質量は現在の2/3に減っています。こうして,地球の軌道は外側になり、太陽にのみ込まれずにすむ可能性があります。
惑星状星雲

重い星の一生の最後
 軽い星の場合と同じように、太陽の8倍程度よりも重い星も中心部で核融合反応に使われる水素が少なくなり、ヘリウムの中心核ができると、その周りで水素の核融合反応が進み、星全体がふくらんでいきます。軽い星が進化してできる赤色巨星よりも大きくて明るいので、赤色超巨星と呼ばれます。赤色超巨星の中心部ではヘリウムから炭素や酸素、さらにはケイ素や鉄が作られる核融合反応が進みますが、鉄はそれ以上核融合反応を起こさないので、そこで反応は止まってしまいます。反応が止まってエネルギーを作れなくなった鉄の中心核は次第に縮むとともに温度が上がり、およそ100億度になると一気につぶれます。中心部がつぶれるために星全体が中心部に向かって急激に縮み、中心部で跳ね返ってきた衝撃波が星全体を吹き飛ばします。これが超新星爆発です。超新星は普通の星の1,000億倍以上明るく輝き、1つの超新星の明るさはその星が属する銀河全体の明るさを上回るほどです。
画像 超新星爆発

中心に残される超高温超高密度の星、中性子星
 爆発した星の外層部分は宇宙空間に飛び散り、超新星残骸となって広がっていきます。一方、中心部は超高温超高密度の星、中性子星として残ります。中性子星は太陽ほどの重さがありますが、その半径は10kmほどととても小さな星です。軽い星の一生の最後に残される白色矮星の密度は1cm?あたり10t程度でしたが、中性子星の場合は同じ体積でその100万〜1000万倍も重いのです。中性子星は非常に高速で自転していて、規則正しい電波を出すパルサーとして観測されることがあります。たとえば1054年に爆発した超新星のなごりであるおうし座のかにパルサーは、1秒間に30回転という高速で自転しています。
画像 カニパルサー

古代から観測されてきた超新星爆発
 突然明るく輝きだすことからその名がつけられた超新星ですが、新しい星が生まれたのではなく、逆に星の一生の最後の姿です。古代中国や平安期の日本などでも突然現れる「客星」として歴史書などに記されています。日本では藤原定家が記した『明月記』に、西暦1006年や1054年に出現した超新星の記録が残されており、超新星の研究に重要な役割を果たしています。超新星は1つの銀河でおよそ100年に1つの割合で出現すると考えられていますが、私たちの銀河系内では1604年に出現したケプラーの超新星が観測されて以来、確認されていません。銀河系中心の向こう側などで発生で見えなかったのかもしれません。一方で、私たちの銀河系のすぐ隣にある大マゼラン雲では、1987年に超新星1987Aが出現しました。大マゼラン雲は南天の天体なので日本から見ることはできませんでしたが、東京大学の小柴昌俊名誉教授はこの超新星爆発で発生したニュートリノを検出しニュートリノ天文学を切り開いた功績が認められ、2002年のノーベル物理学賞を受賞しました。
画像 ケプラーの超新星

距離の物差しになる超新星
 大質量星の一生の最後に起きる超新星爆発とは違った仕組みで起きる超新星もあります。Ia型超新星と呼ばれるもので、白色矮星と巨星の連星系で起きます。巨星と白色矮星が近い位置をお互いに回りあっている場合、巨星がふくらむにつれて外側のガスが白色矮星の方向に流れ込んでいきます。こうして白色矮星にガスが降り積もり、太陽質量の1.4倍ほどになった時に白色矮星がつぶれはじめ、その中心部の密度と温度が上がって炭素や酸素の核融合反応が急激に進みます。この反応によって白色矮星は爆発し、超新星爆発として観測されるのです。この爆発は明るさがほとんど一定であると考えられているため、距離を測る物差しとして使われます。遠くのものほど暗く見えるので、遠くの銀河でこのタイプの超新星爆発が発生した場合、その超新星の明るさを測ることでその銀河までの距離を求めることができるのです。
画像 白色矮星と巨星

最も重い星の最後
 超新星爆発を起こすような重い星の中でも、太陽の20倍を超えるような非常に重い星の場合、超新星爆発を起こしたあとに残される中心核は自らの重力に耐えられず、さらにどんどんつぶれていきます。こうして極限までつぶれた非常に密度の高い天体が、ブラックホールと呼ばれます。アインシュタインが提唱した一般相対性理論によれば光も重力の影響を受けるので、非常に重力の強く、ブラックホールからは光さえも出てくることができません。このため、「黒い穴」のように見えるだろうということで、ブラックホールという名前がつけられました。
 2019年4月10日。人類は歴史的な瞬間を迎えました。なんと、はじめてブラックホールの撮影に成功したのです……!
画像 ブラックホールの撮影成功

ブラックホール候補、はくちょう座X-1で発見
 理論的にはその存在が予測されていたブラックホールですが、その名の通り光さえも出てこないために、ブラックホールを観測するのは簡単ではありません。1970年、アメリカの科学者たちは強力なX線を放射する天体を突きとめるため、X線天文衛星「ウフル」を打ち上げました。「ウフル」は強いX線を出す天体を数百個発見しましたが、そのほとんどは中性子星でした。ところが、はくちょう座X-1と名づけられた天体の位置には、太陽のおよそ30倍の重さの大きな熱い青い星があったのです。しかもこの星は、太陽の10倍の大きさの見えない天体に引っぱられていました。この見えない天体こそが、観測で初めてブラックホールの候補とされた天体です。現在では観測が進み、十数個のブラックホール候補天体が見つかっています。
画像 はくちょう座X-1ブラックホール

観測史上最古、124億年前の宇宙に渦巻き構造を持つ銀河を発見
総合研究大学院大学の大学院生 津久井崇史氏と国立天文台/総合研究大学院大学の井口聖教授は、アルマ望遠鏡の観測データの中から、観測史上最古の渦巻き構造を持つ銀河を124億年前の宇宙に発見しました。これは、ビッグバンから14億年後の時代に相当します。今回観測されたBRI 1335-0417と呼ばれる銀河は、私たちが住む渦巻銀河である天の川銀河の1/3ほどの大きさを持っていました。宇宙の歴史の中でこれほど早い時代にしっかりした渦巻き構造を持つ銀河を発見できたという観測結果は、「銀河の形はどのように決まるのか」、「銀河の渦巻き構造がいつどのようにできあがったのか」という天文学の古典的な疑問を解く糸口を与えてくれる可能性があります。

軽すぎて恒星になれなかった天体 褐色矮星
 星の質量が太陽の0.08倍以下の場合には、中心部の温度が十分に上がらず、普通の星の中心部で起きているような水素原子核からヘリウム原子核をつくる核融合反応が発生しません。比較的重い星は、水素原子核に中性子が1つ余分についた重水素という元素の核融合反応が発生します。ところが重水素はふつうの水素に比べて極端に量が少ないため、重水素の反応はすぐに終わってしまいます。誕生直後だけわずかに輝き、その後は余熱で光りながら徐々に冷えて暗くなっていくこのような天体を、褐色矮星と呼びます。
 このように非常に軽い天体である褐色矮星がどのようにして生まれるのか、また、銀河全体でどれくらいの数あるのか、はっきりとは分かっていません。謎だらけです。
 画像は、すばる望遠鏡が捉えた、太陽の0.04倍の重さを持つ褐色矮星。若い恒星と連星系をなしていますが、恒星の光を隠すコロナグラフという方法を使って暗い褐色矮星を写し出しています。
画像 暗い褐色矮星

ブラックホールと銀河はどちらが先にできたのでしょうか?
「ニワトリが先か卵が先か?」と同じような議論。初期の小さな銀河に、超大質量のブラックホールが発見されています。ブラックホールと銀河の質量の相関関係から見ると、銀河の大きさに比べてブラックホールが大きすぎる。また、その銀河の内部で星が活発に形成されています。従って、ブラックホールの方が先だと思われるかもしれませんが、1つの銀河を調べただけでは結論を出せません。ブラックホールがない、あるいは検出されていない銀河もあります。また星と星、あるいは銀河と銀河が合体してブラックホールができた可能性も考えられますので、この議論はまだ当分の間続きそうです。 画像 天の川銀河の近くにある矮小銀河Henize2-10にある超大質量のブラックホール

ダークマター
宇宙誕生から38万年間は、熱い宇宙で、4000度まで冷えてきて、電子が陽子に捕らえられ始めで、電子が飛び交って光を遮る状態ではなくなりました。宇宙の晴れ上がりと言います。宇宙に光が飛び始め、宇宙を満たしました。その残像の宇宙マイクロ波背景放射が今でも観測できます。一様な状態で、密度の揺れは10万分の1程度です。このような均一宇宙ではなかなか星ができません。物質が偏って集まり、それが星になるからです。ここに一つの救いがありました。ダークマターです。これは晴れ上がり以前から宇宙で偏った集まりを形成し、ここに通常物質が集まりやすく、星は5億年後には出来始めました。光が灯ったのです。宇宙の夜明けと言います。
画像 宇宙マイクロ波背景放射

宇宙暗黒時代の終焉から銀河の誕生
 ダークマターの塊の中に集まった物質から宇宙で最初の恒星が誕生するのは、宇宙誕生から数億年が経った頃と考えられています。宇宙の晴れ上がり以降、最初の恒星が生まれる以前の宇宙は、光る天体がまったくなかったため、「宇宙の暗黒時代」と呼ばれています。最初の恒星の誕生は、宇宙の暗黒時代に終わりを告げる「宇宙の夜明け」といえる出来事でした。
 銀河は恒星の集団でできていますが、残念ながら、この最初の恒星がどうやってできたのか、また銀河ができるまでの道のりは、まだ解明されていません。しかし、誕生から約8億年が経過した頃の宇宙には、すでに銀河と呼べる天体が存在していることが、すばる望遠鏡などによって明らかにされています。今の宇宙の三分の一の大きさですから、密度は九分の一と物質が密接していました。星も銀河も出来やすかったのでしょう。
画像 初期の銀河

銀河の親「ダークマターの塊
 銀河はダークマターの塊の中に作られます。銀河の進化はダークマターの塊の進化とは関係があります。私たちの宇宙にあるダークマターは、その性質から「冷たいダークマター」と呼ばれています。この特徴は、質量の小さいダークマターの塊が最初にでき、質量の大きな塊はそれらの集積・合体を通して出来ていくというものです。この過程は「階層的構造形成」と呼ばれています。
 ダークマター以外では、銀河は主に恒星と水素やヘリウムなどのガスからできています。ガスから星が形成されるにつれて、恒星の質量は大きくなっていきますが、一方、新しい恒星を作るにつれて、ガスは次第に消費されていきます。ガスがなくなってしまうと新たに恒星を作ることができなくなり、銀河の成長は止まってしまいます。
画像 若い銀河

銀河の合体
 ダークマターの塊同士の集積・合体を通して銀河同士の合体が起こると、合体前にガスを残していた銀河から合体後の銀河に新たなガスが供給され、恒星の質量が大きくなります。このような過程を通して、宇宙で最初にできた小さな銀河から、天の川銀河のような大きな銀河が形成されます。このような成長過程の中で、銀河の光度や色、重元素(炭素、酸素、ケイ素など)の量、形状は複雑になっていきます。銀河の光度は、星形成が進むにつれて明るくなっていきます。新しい恒星が作られている間は、質量が大きい恒星からの光が卓越し、青い色の明るい銀河になります。一方、銀河のガスを使い果たすなどして星形成が止まると、質量の大きな恒星ほど寿命が小さく先に死んでいくため、暗くなっていき、色は赤くなっていきます。
画像 老いた銀河

渦巻銀河
 宇宙の重元素は、恒星における核融合反応で合成され、超新星爆発などによって、銀河に新たに供給されます。  天の川銀河の近くにある質量の大きな銀河は、円盤や楕円などのきれいな形態をしています。しかし、誕生当初の銀河は、きれいな形ではなく、非常にいびつな形をしていました。やがて、ダークマターの塊の集積・合体が落ち着くと、その中でガスは次第に収縮します。その際、回転運動が大きく、回転によって収縮が止まる場合は円盤銀河(渦巻銀河)になり、回転が小さい場合は楕円銀河になると考えられています。
 銀河が円盤や楕円などの形態を持つようになったのは、宇宙誕生後約60〜100億年が経過した頃と考えられています。
画像 上から見た天の川銀河

衛星

衛星

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