神奈備の物理雑談 5

銀河の衝突
 銀河はダークマターの塊の中で形成され進化します。ダークマターの塊は、集積・合体を通して小さなものから大きなものへと成長します。別々のダークマターの塊の銀河と銀河は、より大きな1つのダークマターの塊に取り込まれることで、互いに衝突することがあります。まるで銀河と銀河の交通事故のような現場が、これまでにたくさん観測されています。即ち、銀河同士の衝突が頻繁に起こっていることを意味しています。これは、銀河の大きさに比べて、銀河と銀河の間の距離がそれほど大きくないからです。私たちの天の川銀河と、隣のアンドロメダ銀河の場合、天の川銀河とアンドロメダ大銀河の大きさは約20万光年、距離は230万光年です。銀河を約10cmとすると、お互いの距離はたったの1m程度しかないのです。
画像 銀河の衝突

銀河の衝突
 衝突によって銀河にどのような影響が及ぼされるかは、衝突する銀河の質量の比や、衝突する速度や角度によって決まり、より大きな1つの銀河になったり、一方のガスがはぎ取られるだけで終わったりします。また、衝突の際には、銀河の中のガスが急激に圧縮されることによって、「爆発的星形成(スターバースト)」が起こることがあります。爆発的星形成では、数万年〜数百万年の短い時間で、太陽質量の数十万〜数億倍にも相当する多数の星が形成されます。その結果、衝突中の銀河は、たくさんの大質量星が輝く明るく青い銀河として観測されます。
 私たちの天の川銀河とアンドロメダ銀河も、およそ30億年後には衝突すると考えられています。そして、衝突から10億年後には合体し、1つの巨大な楕円銀河になると考えられています。
画像 天の川銀河の衝突

銀河間物質は電離した高温ガスに
 銀河間物質のガスは、X線による観測でその温度が1万度以上ということが分かりました。宇宙にある約半分のガスは、1万度以上もの高温になっていたのです。これほどの高温だと、水素原子は電離してプラズマ状態になります。現在の宇宙では、ほとんどのガスは電離状態にあるのです。宇宙は絶対温度約3度(摂氏マイナス270度)と非常に冷たいのに、不思議なことです。
 宇宙がビッグバンから始まった当初、高温の電離状態にあったガスは宇宙の晴れ上がりの際に一度冷えて中性状態になりましたが、現在までのどこかで再び熱い電離状態になったことになります。「宇宙の再電離」と呼ばれている現象ですが原因は解明されていません。
画像 宇宙再電離

大規模構造
 私たちの宇宙は、無数の銀河からなる世界です。それらの銀河は、宇宙全体に一様に散らばっているわけではなく、銀河が狭い範囲に集中している場所と、ほとんど銀河が存在しない場所(ボイド)に分かれているのです。銀河が集中している場所は、その規模によって銀河群、銀河団あるいは超銀河団と呼ばれています。天の川銀河にもっとも近い銀河団として、おとめ座銀河団がよく知られています。
 このような巨大な網の目のように見える構造を「宇宙の大規模構造」と呼びます。誕生直後の宇宙では、ダークマターやふつうの物質は宇宙全体にほぼ一様に分布していました。しかし、その分布にはわずかなむらがあり、周りよりも少しだけ密度の高い領域は、徐々に周りの物質を重力によって引き寄せはじめます。一度成長を始めると、あとは雪だるま式に成長を続け、物質が多く集まった場所では星が生まれ、銀河が形成されていきます。このようにして、銀河の集まる場所と、そうでない場所が作られてきました。
画像 超銀河団

超銀河団
 銀河は数百から数千集まって銀河群、銀河団を形成しています。この銀河群や銀河団が更に集まって超銀河団を形成していますが、この超銀河団は平面状の壁のような分布を示しています。この巨大な壁をグレートウォールあるいは銀河フィラメントと呼ばれています。  1枚の銀河フィラメントと他の銀河フィラメントとの間には光を発する天体がほとんど無い領域があります。これを超空洞(ボイド)と呼び、その直径は1億光年を超えます。
 宇宙の大規模構造は銀河フィラメントと超空洞が複雑に入り組んだ構造になっていますが、これはあたかも石鹸を泡立てたときにできる、幾重にも積み重なった泡のような構造です。つまり、泡の膜面である銀河フィラメントには銀河が存在し、泡の中の空洞たる超空洞には銀河がほとんど存在しません。
画像 宇宙の大規模構造

天の川銀河
天の川銀河は、2,000億個の恒星とその数十パーセント程度の質量を持つ星間物質の集合体です。恒星は凸レンズやどら焼きのように中心部がふくらんだ円盤の形に分布しています。その構造は、ディスク(円盤部)、バルジ、ハローに大きく分けられます。ディスクには若い恒星と星間物質が集中していて、渦巻状のパターン(渦状腕)が見られます。恒星の分布は直径約10万光年で、厚さは中心から遠いほど薄く、中心部で約1万5,000光年、太陽系付近で約5,000光年です。太陽系は銀河系の中心から約2万8,000光年の距離にあり、オリオン腕と呼ばれる渦状腕に属しています。バルジは中心の楕円形にふくらんだ部分で、年老いた恒星が多く、星間物質はほとんどありません。ディスクとバルジを球状に取り囲む領域はハローと呼ばれています。ハローには恒星は少ないのですが、球状星団はここに分布しています。
 画像 どら焼

銀河とダークマター
 天の川銀河の中心は、太陽系から見るといて座の方向にあります。その中心部には、巨大ブラックホールが存在すると考えられています。その他にもディスクやバルジには見られない中心部に特有の現象が多く見られます。銀河の回転運動は中心から遠いところでも速度が小さくならないという特徴があります。これを説明するためには、これまでに観測されている天体の質量の合計よりもはるかに多い質量が必要になります。そのため、ハローなどに大量のダークマターが存在すると考えられていますが、その正体はいまだ解明されておらず、天文学の大きな未解決問題の1つになっています。
画像 銀河のおいたち

銀河と電波アーク
銀河の中心には星間物質が集中していて、その周辺に見つかった恒星の運動などから、この天体は太陽の数百万倍もの質量を持つ巨大なブラックホールであることが明らかになったのです。ブラックホール以外にも、中心付近には銀河系の中でここでしか見られない天体が多く見つかります。例えば、いて座Aの東側には、電波で明るく見える銀河面に垂直な細長い弧状の天体「電波アーク」があります。電波の性質を調べることで、そこには強力な磁場が存在することが分かっていますが、その起源となる天体は見つからず、正体は発見から20年以上経った現在も謎に包まれたままです。
画像 電波アーク

散開星団
 天の川銀河には約2,000億個の恒星がありますが、一様に分布しているのではなく、ところどころに恒星が集団を作っている場所があります。これらは星団と呼ばれ、散開星団と球状星団の2種類に分類されます。  散開星団は、星が1ヵ所で生まれたものです。比較的年齢の若い数百から数千個の恒星が不規則に集まっていて、星間ガスをともなうことがあります。散開星団は主に銀河系のディスクの中に含まれているので、天の川に近いところで多く見ることができます。
 散開星団の中の星は初めは強く密集していて、同じ速度で銀河中心の周りを回っています。約5億年位ごとに、プレアデス星団やヒアデス星団(共におうし座にある)といったよく知られた散開星団は分子雲の通過といった擾乱を受け、星団の星々はわずかに異なった速度で動き、やがておおぐま座のようにばらばらにずれ動いていきます。こうなると星団は、星団を形作るほどには近くないが全ての星が関連を持ち、ほとんど同じ方向に同じ速度で動く星の流れとなる。
画像 ヒアデス星団

球状星団
 球状星団は、恒星が球状に密集した星団です。恒星の数の密度は中心ほど大きくなっています。その中に含まれる恒星の数は散開星団よりもずっと多く、数万から数百万個に達します。年齢は100億年以上と老齢で、ほとんどは太陽よりも軽い(寿命が長い)恒星であり、天の川銀河の歴史のなかでも早い時期にできたと考えられています。また、恒星は星団全体の重力によって束縛されています。そのため時間が経っても散開星団のようにばらばらにならず、長い間球状の形を保っています。
 球状星団は、銀河のディスクとバルジを取り囲むハローと呼ばれる領域に分布しています。私たちの銀河系では、これまでに約150個が発見されています。
画像 さそり座の球状星団

暗黒星雲・分子雲
星と星との間には星間ガスがあり、そこには塵(ちり)が含まれています。この星間塵(せいかんじん)は、背景にある恒星からの光をさえぎるので、その光は観測者まで届かないことになり、恒星を背景としてシルエットのように星間ガス雲が浮かび上がります。このような天体を暗黒星雲と呼びます。
 星間ガス雲の密度が濃くなると、主な成分である水素が分子の状態で存在できます。このような星間ガス雲をとくに分子雲と呼びます。
 暗黒星雲や分子雲などの星間ガス雲は、恒星が生まれる母胎となっています。ガスの密度が著しく濃くなっている部分を高密度分子雲コアといいますが、その中心の最も濃い部分が重力によって収縮することで恒星が誕生するのです。星間ガス雲は新しい星を生み出すために不可欠な銀河の主要な構成要素なのです。
画像 暗黒星雲・分子雲
 

超新星残骸
大きい恒星の最期を飾る超新星爆発。その後に残る天体が超新星残骸です。これは超新星爆発のエネルギーが周辺の星間ガスに衝撃波を与え、光を放つものです。衝撃波はほぼ球殻状に広がるので球対称な形状が見られることが多いのですが、中には網状や非常に複雑な構造を示すものもあります。次第に膨張しているため、年齢が古いものほど大きな構造として観測されます。
画像 かに星雲

電波で見る超新星残骸
 超新星残骸は可視光だけでなく、X線や電波などさまざまな電磁波を出しています。星間物質に吸収されにくい電波を使った観測では、可視光で見えない超新星残骸が数多く見つかっています。私たちの天の川銀河の中心部には非常に大量の星間物質が集まっていて超新星爆発を起こすような星も活発に作られているのですが、この領域を電波で観測するとたしかに数多くの超新星残骸が見つかります。これらの超新星残骸の大きさや広がり方を調べることで、銀河系中心部でこれまでにどのような星形成が起きてきたのかを知ることができます。
画像 丸い形をした超新星残骸

太陽の誕生
恒星は、宇宙空間を漂う星間ガスがたくさん集まって誕生します。最初は星間ガスが自らの重力で集まって密度が高くなった分子雲になります。典型的な星間ガスの密度は1cm?あたり1個しか水素原子を含んでいませんが、密度が高くなった分子雲になると1cm?あたり10万個から100万個もの水素分子を含むまでに成長します。分子の中にできた密度の「むら」の濃いところを中心に、分子雲はさらに自分の重力で収縮し、原始星と呼ばれる段階になります。
 原始星にはガスや塵でできた円盤があり、そこから物質が中心星に供給されることでさらに成長を続けます。円盤から供給される物質の一部は物質を放出する現象(分子流)により流れ出してしまいますが、このおかげでより多くの物質が円盤から供給されるようになります。そしてさらに収縮が進み、星の中心部が水素が核融合反応するために必要な密度と1,000万度以上もの温度になると、太陽のように明るく輝き始めます。この状態からしばらくして、太陽は現在の姿になったのだと考えられています。
画像 太陽の誕生

太陽と惑星の誕生
 太陽くらいの重さの星が生まれてからおよそ100万年、星はガスや塵(ちり)でできた円盤に囲まれています。1993年、長野県の野辺山宇宙電波観測所にあるミリ波干渉計によって、世界ではじめて、単一の若い恒星のまわりに原始惑星系円盤が発見されました。
 円盤の大きさ(直径)は、1,000〜2,000天文単位ほどです。1天文単位とは地球と太陽との平均距離 で、149,597,870,700 mです。
星が大人になる頃、およそ誕生から1,000万年以上経過する頃には、円盤はなくなってしまいます。円盤の一部(塵や、恒星に落ちたり恒星からの光ではじき飛ばされたりしなかったガス)は木星や私たちが住んでいる地球といった惑星になると考えられています。すばる望遠鏡で惑星の故郷である円盤を詳しく調べ、円盤から惑星がどのようにできていくのかという謎に迫ろうとしています。
画像 原子惑星系円盤の想像図

惑星の誕生
 天の川銀河にはよそ2,000億個もの恒星があります。宇宙にたくさんの恒星があるで、太陽系にあるような惑星があって、生命が育まれている惑星が他にもあると考えることができます。2020年4月1日時点で4,241個の太陽系外惑星が発見されています。まだ観測精度が十分でないので、海や植物が存在している惑星はまだ見つかっていませんが、大気に水蒸気が含まれている惑星を発見しています。
 生まれてから100万年から1,000万年くらいの太陽は、ガスや塵(ちり)でできた円盤に囲まれていたと考えられています。この塵が集まって、惑星のもとである大きさ数km以上の微惑星に成長し、微惑星どうしが衝突し合体を繰り返すことで大きくなって原始惑星となり、さらに原始惑星同士が合体したり重力でまわりのガスや微惑星を集めたりして、ついには惑星と呼べる大きさにまで成長すると考えられています。
画像 惑星の誕生

宇宙の主役、ダークマター
 光や電波に反応することがないので、現在の私たちの観測手法では直接検出することができませんが、ダークマターが持つ質量によって引き起こされるいくつかの現象を通じてその存在が推測されています。例えば、渦巻銀河では明るさから計算される質量より、星々が銀河中を運動する速度から求めた質量のほうがはるかに大きいことが知られています。また、銀河団の質量は、構成する各銀河の明るさから推定される質量よりも、各銀河の運動から求めた質量のほうがずっと大きいことも分かっています。宇宙において、ダークマターは私たちがふだん目にする物質よりもはるかに重要な役割を担っているのです。
 ダークマターの正体はなんなのでしょうか。まだ私たちに知られていない未知の物質がダークマターの正体である可能性が大きく、現在研究が盛んに行われています。2008年に打ち上げられた国際ガンマ線天文衛星「フェルミ」によって観測されてきたダークマター粒子同士が衝突したときに発生すると考えられている高エネルギーのガンマ線を観測できるのではないかと期待されていたが、確認はできなかった。
画像 ダークマター

かつてない広さと解像度のダークマター地図
 2016年4月までに すばる望遠鏡搭載のHSC で観測されたデータ (計画全体の約 11%) を解析し、かつてない広さと解像度を持つ新たなダークマター地図を作成することに成功しました。160 平方度に渡る広範囲かつシャープな画像には 2000 万個以上の銀河が写っており、重力レンズ解析からダークマターの2次元分布を推定したのです。平均 0.56 秒角 (視力 100 以上に相当) もの高い解像度で銀河を撮影し、それを用いてダークマター分布の様子を描き出した例は、これまでにありませんでした。2015年7月に公表された HSC による最初のダークマター地図の約 70 倍の広さです。
画像 ダークマター分布

ダークエネルギー
 ダークエネルギーの存在は、その後のウィルキンソンマイクロ波異方性探査機による宇宙背景放射の観測や、銀河団や重力レンズの統計的研究によって不動のものとなってゆきます。最新の研究成果によれば、宇宙全体のエネルギーに占めるダークエネルギーの割合は実に74%に達します。残りの22%はダークマターで、バリオン(ふつうの物質)は全体の4%に過ぎません。
 ダークエネルギーは空間に付随するエネルギーだと考えられています。すなわち、空間が膨張すればするほど、空間の体積が増えてダークエネルギーの総量も増え、宇宙を膨張させる力が増します。一方、宇宙の膨張を食い止める力の源となる質量をもった物質は、空間が増えても一定のままです。宇宙の運命を知るには、ダークエネルギーの性質について知ることが大事になってきます。最近、大栗博司さんが、空間エネルギーの密度は徐々に低くなっているのではとの仮説を提出されました。数年後には答えがでるでしょう。
画像 空間エネルギー

ホワイトホール
 アインシュタインの一般相対性理論はブラックホールの存在を予言しており、実際にブラックホール候補天体も数多く見つかっています。ブラックホールは、光でさえも飲み込んでしまうほどの強い重力を持つ天体、いわば時空に開いた“穴”なのですが、理論上、時間方向に反転してやるとなんでも吐き出す穴、すなわちホワイトホールの存在を考えることができます。この両者を結びつける仮想的なトンネルのことを、ワームホールと呼んでいます。この穴を使ってワープができるのではないか、そのような可能性を追求した研究者がいます。
画像 ワームホール

宇宙の曲率
 地球の表面を例にその考え方を見てみましょう。地球の表面は2次元平面すが、では果てはあるでしょうか?すぐに分かるとおり、地球の表面には果てがありません。目の前の方向に向かってずっとまっすぐ進むと、地球は丸いため、元々いた位置にいつかは戻ってきてしまうはずです。このような空間を、閉じた空間と呼び、その曲率は正になります。逆に曲率が負の場合、あるいはちょうど0の場合には、その空間は無限に広がることとなります。宇宙空間は3次元空間ですが、いま説明した2次元空間の場合と同じように考えることができます。では、宇宙の曲率はいったいどれくらいでしょうか?これまでの観測で、ほぼ0(おそらくは0)であることが分かっています。0は奇跡的で、実際は僅かにプラスと思っています。
画像 宇宙空間の曲がり

宇宙がはじまる前
 近年の観測によって、宇宙はおよそ138億年前にはじまったことが明らかになりました。遠くの銀河ほど我々から遠ざかる速度が速いことを米のハップルが発見しました。時間を逆に考えると、遠ざかっている銀河が一点に集まることになります。これが宇宙の始まりで、138億年前のことです。
 宇宙の始まりについて、ある説では、宇宙は「無」から生まれたとしています。「無」とは、物質も空間も、時間さえもない状態。しかしそこでは、ごく小さ な宇宙が生まれては消えており、そのひとつが何らかの原因で消えずに成長したのが、私たちの宇宙だというのです。また生まれたての宇宙では、時間や空間 の次元の数も、いまとは違っていた可能性があります。ある説によれば、宇宙は最初は11次元で、やがて余分な次元が小さくなり、空間の3次元と時間の1次元だけが認識できるように残ったのだといいます。
画像 ハップルの観測

宇宙の始まり
 宇宙が138億年前のある瞬間に生まれたとする考えがあります。宇宙が生まれた以降は物理学で理解できますが、物理学で理解できないその誕生の瞬間―特異点―大きさがゼロで密度は無限大の点ーが存在すること自体、誰でもが気持ち悪いものです。
 宇宙の始まりという特異点を回避するための理論はいくつか提唱されています。たとえばイギリスのスティーブン・ホーキングは特異点を回避するための理論を考えています。宇宙が始まる前には虚時間があったとする良くわからない説です。
 前世の宇宙が極微のブラックホールになり、それが此の世へのトンネルを抜けてきたのが現在の宇宙の始まりと考えていますが、勿論証拠はありません。 画像 トンネル効果

インフレーション理論
 宇宙のはじまりは138億年前。超高温・超高密度の火の玉「ビッグバン」の急膨張により誕生したとされています。では、ビッグバンはどうやって起きたのでしょうか。その謎の答えだとされているのが、ビッグバン直前の”宇宙のはじまりの瞬間”をとらえた「インフレーション理論」です。
 1981年に東京大学の佐藤勝彦教授が発表したは、宇宙誕生の10^-36秒後から10^-34秒後という超短時間に、極小だった宇宙が急膨張し、その際に放出された空間の熱エネルギーがビッグバンの火の玉になったと説明する理論です。米国のアラン・グースが、ほぼ同時期に同じような理論を提唱しています。彼は「インフレーション理論」と命名しました。
 インフレーション瞬間の膨張速度は、シャンパンの泡1粒が、光速より速い、一瞬のうちに太陽系以上の大きさになるほど急速です。
画像 インフレーション理論

ビッグバンのエネルギー
ビッグバンのすさまじい高温は、その直前まで宇宙に満ちていたエネルギーが熱に変化したものでした。宇宙は誕生直後からビッグバン直前までの10の34乗分の1秒(これは1秒の1000兆分の1の1000兆分の1の1万分の1にあたります。)の間に、「インフレーション」と呼ばれる、数十桁も大きくなるような猛烈な加速膨張を起こしたのです。現在の宇宙膨張を加速させているダークエネルギーと同じ、しかしその100桁以上もの驚異的な大きさをもった「真空のエネルギー」が、生まれたばかりの宇宙空間を倍々に膨張させていったのではないかと考えられています。そしてこのインフレーションとともに、この宇宙には、時間が流れ、空間が広がり始めたのです。
 真空のエネルギーが熱になり、物質になりました。また残ったエネルギーは宇宙を加速膨張させています。
画像 宇宙マイクロハ背景放射

宇宙誕生の重力波
 インフレーションほどの宇宙の急膨張であれば、巨大な星の爆発など、質量を持った物体が運動するときに生じる時空の歪みを光速で伝える「重力波」が生じるはずです。しかし、地球に届く重力波は極めて微弱で、直接の観測は困難な仕事です。二つのブラックホールの合体でしょうじた重力波が2015年に検出されています。
 重力波の痕跡には、宇宙誕生のインフレーションに関する重要なインフォメーションが含まれているはずで、未知とされるダークエネルギーについての知見を得るきっかけにもなるかもしれません。超弦理論の裏付けになる可能性もあります。飛騨の鉱山跡のKAGRAの活躍に期待したいところです。
画像 重力波

水星
1973年打ち上げのマリナー10号によって微弱ながら水星に磁場が発見され、その後の観測より、液体の核をもつ可能性が示唆されています。なぜ水星のような小さい惑星で核が溶けたままいられるのか、大きな謎となっています。太陽との距離が地球の38%の水星は、太陽の強烈な光や熱を地球の7倍も受けています。そのため、昼には表面の温度が摂氏400度まで高くなります。しかし、大気がほとんどなく、自転の周期が非常にゆっくりしているので、太陽の側を向いていない夜の面では、熱がほとんど失われてしまいます。そして、夜明け前には温度が摂氏マイナス160度にまで下がってしまうのです。
2018年10月に打ち上げられ、イオンエンジンを用いた電気推進と地球スイングバイ、2回の金星スイングバイ、6回の水星スイングバイを経て、7年後の2025年末に水星に到着する予定である
 JAXAとESAは共同で、水星探査計画「ベピ・コロンボを2018年にうちがげ、2925年に到着の予定です。この探査で色んなことが明らかになるでしょう。
画像 水星

万有引力の法則
 17世紀、ニュートンは、「質量が大きな物体ほど強い重力をもつ、物体から距離が近いほど重力は強く、遠いほど弱い」ということを発見しました。それを「万有引力の法則」と呼ばれました。  金星から土星までの惑星の運動は観測と計算が完全に一致し、この法則は完璧なものとされていました。
 所が天王星の軌道は合いませんでした。驚くべき事態です。「万有引力の法則の発見から100年、観測結果と計算結果が合わないのです。ここに天才と言われていた、天文学者ユルバン・ルヴェリエが数々の可能性を吟味し、考察を重ねた末に、一つの結論を導きました。「ニュートンの万有引力の法則に間違いはない。天王星の近くに、まだ発見されていない天体がある。天王星は、その未知の天体の重力の影響を受けている。天体の大きさと位置を割り出しました。
 それをもとに、天文学者が夜空を観測したところ、本当にルヴェリエの予想通りの位置に、予想通りの大きさの未知の天体が見つかったのです。その天体は今では「海王星」と呼ばれています。
画像 万有引力の法則

未知の惑星「バルカン」
 「万有引力の法則」で全ての惑星の運動が解明されたと思われたのですが、太陽に一番近い惑星「水星」の軌道が問題でした。軌道が、「万有引力の法則」の計算結果と、ごくわずかにズレていたのです。天才ルヴェリエはこの問題の研究で、天王星の時と同じ結論に達します。「水星と太陽の間に、まだ発見されていない未知の惑星がある。その惑星の重力の影響で、水星の軌道がわずかにズレているのだ」。その言葉に、世界中の天文学者が、未知の惑星「バルカン」を発見しようと観測をはじめました。しかし観測は難航、その惑星はとても太陽に近いということ。太陽の明るさのせいで、惑星があったとしてもほとんど見えないのです。それでも天文学者達は、未知の惑星「バルカン」の存在を信じ観測を続けました。
 バルカンは見つかりませんでした。そのうち数十年が経ち、ルヴェリエはバルカンの発見を待たずに、この世を去りました。
画像 バルカン

現れた若き天才
 20世紀になり、観測技術は進歩、宇宙の研究も進みました。しかし、幻のバルカンは発見されず、水星軌道の問題は解決されません。この問題は、近代科学に突き刺さったトゲとなっていました。
 ある若き天才が科学界に現れました。その名は、アルバート・アインシュタイン。後に20世紀最高の天才と言われる物理学者です。アインシュタインが、重力理論に取り組み始めてから約10年。1915年に、ついに新しい重力理論が完成しました。その理論の名は「一般相対性理論」。質量を持つ物体は、重力で周りの時空を歪める。歪んだ時空にある物体は、その歪みの影響を受けて、引っ張られたように動く。
 アインシュタインは、完成した「一般相対性理論」を使って水星の軌道を計算しました。すると、計算結果と実際の水星軌道が、ピッタリと一致したのです。200年以上君臨した「万有引力の法則」を越えた新しい理論が誕生した瞬間です。
画像 一般相対性理論

スーパーローテーション
 金星は自転が遅く、1回自転するのに地球時間にすると243日かかります。しかし、分厚い大気の層が惑星の自転の60倍に達する速度で西向きに回転しており、「スーパーローテーション」と呼ばれています。スーパーローテーションは、最も強くなる金星の赤道付近の雲層の上部の領域では秒速110キロメートルにも達します。こうした大気が金星の昼の側から夜の側へ熱を運び、惑星全体の温度差を小さくする役割を果たしているのです。
 JAXA 宇宙科学研究所が開発し、2010年5月に打ち上げた金星探査機「あかつき」は、エンジンの破損から2010年12月の金星の軌道投入に失敗しました。しかし、失われたエンジンに代わってより小さなスラスターを組み合わせて使うことで再起を果たし、2015年12月に金星を周回する軌道に入り、長期の観測を続けていまあす。
画像 スーパーローテーション

地球の季節
自転軸のかたむきによって四季の変化が見られる  地球は1年かけて太陽のまわりを公転します。自転軸が公転面に垂直な方向に対して約23.4度かたむいたまま公転するので、季節の変化が見られます。日本の夏には太陽は北半球側から光を当てるので、北半球は暑く、南半球は寒くなります。また日本の冬はその逆で北半球は寒く、南半球は暑くなります。日本の春や秋はその中間にあたるので、ほどよい季節になるわけです。
画像 地球の自転

火星の衛星は元は小惑星?
 火星にはフォボスとダイモスという2つの衛星が公転しています。どちらも非常に小さく、いびつな形をしています。もともと小惑星だったものが、火星に近づいた際に火星の引力によって捕えられたのではないかと考えられています。
 フォボスは約13km×11km×9kmの楕円体に近い形をしています。スティックニーと呼ばれる、直径の3分の1近くもある巨大なクレーターがあり、筋状の溝のような地形も見られます。火星から約9,000kmというとても近い場所を公転しており、現在も火星に近づきつつあります。そのため、1億年以内には火星の潮汐力で破壊される可能性があると考えられています。 さらに小さな衛星ダイモス
 ダイモスは約8km×6km×5kmの楕円体に近い形をしています。フォボスよりは外側、火星から約2万4,000km離れたところを公転しています。フォボスより表面が滑らかで、これといって特徴的な地形はありません。
画像 衛星フォボス

探査機計画
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2020年2月21日、火星の衛星「フォボス」に着陸する探査計画「MMX」の概要を発表しました。火星の衛星の本格的な探査や探査機が地球と火星圏を往復するのは世界で初めて。2024年9月の打ち上げ、29年の地球帰還を目指す。
 開発中の新型ロケット「H3」で打ち上げ、その費用を含む総開発費ははやぶさ2より6割多い464億円を見込む。米欧と協力する大型の国際共同プロジェクトだ。
 MMXの探査機は1年弱かけて火星付近に到達し、25年から約3年間、フォボスを中心に火星の衛星や本体を観測。その間、フォボスに数時間着陸し、10グラム以上の砂の採取を目指します。最大2回の着陸を試みます。大きな目的は火星の水の起源を探り、似た惑星である地球の水の起源の手がかりを得ることです。
画像 フォボス探査

木星探査機ジュノー
 ジュノーは5年の旅を経て、2016年7月4日、ついに木星を周回する軌道に入りました。52日ごとに木星を一周する軌道です。
 木星は、厚い大気をもつだけでなく、強力な放射線帯にも取り囲まれています。木星とその周辺領域は、太陽系では太陽に次いで2番目に危険な環境です。にもかかわらず、ジュノーは生き延び、現在までの3年以上にわたって太陽系最大の惑星の観測を続けています。
 ジュノーの観測には、木星の雲の奥深くを覗く赤外線オーロラマッピング装置「JIRAM」や、木星の複雑で巨大な磁場を観測する磁気計など、特別に設計された装置が使用されています。
 2021年7月30日 軌道を離脱させ木星の大気圏に突入させて処分予定です。
画像 木星探査機ジュノー

木星の巨大な渦・大赤斑
木星の巨大な渦・大赤斑
 地球からも見える赤い斑点模様。これは「大赤斑」と呼ばれ、木星の模様の中でもとくに有名です。大きさが地球3つ分もあり、木星をとりまく雲によってつくられ、地球の台風に似た現象だといわれています。大赤斑は時速100kmで左まきに渦巻いています。大赤斑は17世紀にフランスの天文学者ジョバンニ・カッシーニよって発見されてから、300年以上もずっと存在していると言われていますが、どのようにできたのか、なぜ数百年もの長い間消えずにいられるのか、まだ明らかにされていません。
 木星は非常に強い固有磁場があり、木星の周囲には強大な磁気圏が発達しています。磁気圏では、地球からも観測される強い木星電波を発生しています。地球と同様に、木星でも両極にオーロラが発生することが分かっています。
画像 大赤斑

南極の血の滝
“血の滝”が発見されたのは1911年。白い氷原に青い空、そこに真っ赤な水が流れる。水は鉄分を豊富に含んだ海水よりも濃度の高い塩水であった。最新の研究の結果、このような血の色をしている理由は微生物であった事がわかったのです
 微生物たちは太古の昔に氷の下に閉じ込められて以来、氷の下400メートルという環境で生き残ることができた理由は、微生物に硫黄と鉄分の化学反応でエネルギーを得る能力があったから。移動する氷河が鉄分を豊富に含む岩盤を徐々に削り取り、その鉄分を水中の微生物がさらに分解して“血の滝”と呼ぶに相応しい色合いを与えていたのだ。
 この新発見から「木星の衛星ガニメデにも微生物が存在するのではないか?」という予測も成立。ガニメデの地下深くにある海は、普通に考えれば過酷すぎる環境だが、そこには生命が生まれる要素が揃っている。
画像 血の滝

ガニメデ
 NASAの探査機「ガリレオ」によって、木星の衛星である“ガニメデ衛星”の表面を覆う厚い氷の下に海があることがわかりました。約20数年前のこと。ガニメデは「酸素が存在しない」「水温が低すぎる」「太陽の光が届かない」などの理由から、生命は存在しないと考えられてきました。そんな衛星に“生命が存在する可能性がある”という驚きの新説が提唱されたことには、南極大陸に存在する“血の滝”で行われた最新の研究結果が関係しています。
 南極大陸のヴィクトリアランドにある血の滝では、赤い海水が氷河の上を流れています。この血の滝を流れる海水は通常よりも鉄分を多く含んでいるため、赤く見えます。血の滝が流れる氷河の中に閉じ込められた海水もガニメデと同じく極寒で、日光が届かず、酸素も存在しません。しかし2014年に行われた研究で、ここの海水にも17種類の微生物が生息していることが明らかになったのです。
 ちなみに、この微生物たちは代謝に硫酸塩を使っており、鉱物から栄養を得て生きています。その際に使った硫酸塩が鉄と反応して、血のような色の滝が出来上がるんだとか。
画像 ガニメデ

活火山を持つ木星の衛星イオ
活火山を持つ木星の衛星イオ  木星の衛星イオは最も内側を公転している衛星で、木星からの距離は約42万kmです。月よりもやや大きい。イオは、惑星探査機「ボイジャー」によって、地球以外で初めて活火山が発見された天体です。イオの表面は硫黄の溶岩で覆われています。硫黄の噴出物が高さ数百kmにまで噴き上げられています。イオの火山活動は、イオが木星に非常に近いところを回っているために、木星の潮汐力を受けて星の内部が伸びたり縮んだりして熱せられることによって起きていると考えられています。火口付近の温度は 1,500 ℃ を超えています。
 1979年にボイジャー1号が初めて撮影したイオの火山性噴出(画像左)。
画像 衛星イオ

水蒸気が観測された木星の衛星エウロパ

 木星からの距離は約67万kmです。直径は3,130kmで、地球の月よりやや小さい。エウロパの表面は氷で覆われていますが、そこには無数のひび割れのような線が走っています。エウロパもイオ同様、木星の潮汐力を受け、内部が熱せられていると考えられています。そのため、内部では氷が溶け、液体の水がある可能性も指摘されています。
 2019年、エウロパの大気中に水蒸気を直接観測したと、国際的な天文学者チームが発表しました。エウロパの表面下に液体の水が存在するという強力な証拠となるもので、生命体が存在する証拠の発見につながる可能性があります。次なるステップは、2025年に打ち上げ予定のエウロパ探査ミッション「エウロパ・クリッパー」による実地調査が楽しみです。
画像 衛星エウロパ

土星の発見された衛星
 2019年10月7日の発表で、米国・カーネギー研究所などの研究チームは、すばる望遠鏡を用いて2004年から2007年にかけて行った観測から、土星の外周を回る衛星を新たに20天体「発見」したと発表しました。この「発見」により、これまでに見つかった土星の衛星の数は82となり、木星の発見総衛星数の79を上回ったとしています。
 発見された衛星の直径はいずれも5キロメートル程度と小さく、20個のうち17個は逆行、つまり土星の自転とは逆向きに公転しています。順行、つまり土星の自転と同じ向きに公転している衛星のうち、2個は土星にやや近いところを回っており、土星を一周する公転周期は約2年ほど、より遠いところ周回する順行衛星1個と逆行衛星17個の公転周期は約3年以上である。いずれも軌道が土星の赤道からはかなり傾いています。 画像 土星の新しい衛星

土星の環
 土星の環は、太陽系で最も顕著な惑星の環である。マイクロメートル単位からメートル単位の無数の小さな粒子が集団になり、土星の周りを回っている。環の粒子はほぼ全て水の氷であり、塵やその他の物質が少量混入している。  密度の濃いメインリングは、土星の赤道から7000 kmから8万 kmの距離に広がっています。最も薄いところで約10 m、最も厚いところで約1 kmと推定されています。環の質量は土星のわずか1億分の5程度です。環を構成している氷の粒子は土星本体へ雨のように降り注いでいるため、環はいずれなくなってしまう運命にあります。最新の研究によると、1億年以内に環が消えてしまうかもしれません。
 氷の粒が環に留まっていられるのは、土星本体から受ける重力と環が回転することによる遠心力とが釣り合っているから。しかし、太陽の紫外線の影響等によって氷の粒が帯電すると、バランスが崩れて、氷は磁場に沿って本体へと降っていきます。
画像 土星の環

横倒しの惑星・天王星
 天王星の直径は地球の約4倍。大きな特徴に、公転軸に対して自転軸が98度もかたむいていることです。天王星は自転軸が横だおしになって、ごろごろと転がるようにして太陽のまわりを回っているのです。このため、天王星の北極や南極の真上に太陽がくることもあるのです。原因は、過去に大きな天体が天王星に衝突し、その影響で自転軸が傾いてしまったのではないか。
 天王星にも環があります。環そのものが放つ電波や赤外線の輝きは、天王星の環を研究する上で新たな方法を天文学者たちにもたらしました。これまでは、太陽のわずかな反射光である可視光線だけを観測していたのです。アルマ望遠鏡とVLTによって撮影された今回の新しい画像から、天王星の環の温度を初めて測定できました。天王星の環の温度はマイナス196℃(絶対温度77ケルビン)です。イプシロン環と呼ばれます。

海王星
 海王星は最も太陽から離れた位置を公転する惑星です。直径は地球の約4倍。表面温度は摂氏マイナス220度近く、極寒の世界です。海王星は水素を主成分とするガスの層、その下に水やメタン、アンモニアなどの氷でできたマントルの層、中心に岩石や氷、鉄とニッケルなどの合金でできた核、という構造になっていると考えられていますが、最新の調査ではガス惑星じゃなく氷惑星だといわれていす。
 海王星にも環があり、惑星探査機「ボイジャー2号」によって発見されました。環は4本発見されていますが、どれも非常に細く、何ヵ所か途切れて弧(アーク)になっている部分もありま
画像は、2017年6月26日の海王星、白い矢印の先が巨大な嵐

一般相対性理論
天の川銀河の中心ブラックホールを回る恒星の動きを27年間にわたって観測した結果、星の軌道が一般相対性理論の予測通りのずれを生じていることが示されました。
 私たちの天の川銀河の中心部には「いて座A*」と呼ばれる強い電波源があります。いて座A*は太陽から約2万6000光年の距離にあり、その正体は太陽の約400万倍の質量を持つ超大質量ブラックホールだと考えられています。
 いて座A*の周りには、超大質量ブラックホールの強い重力に束縛された星々が星団を形作っている。この星団のメンバー星の一つである「S2」という恒星は、ブラックホールに約200億km(太陽から海王星までの4倍程度)まで近づく軌道を公転している。S2は約16年でブラックホールの周りを1周し、ブラックホールに最も近づくときの速度は光速の3%にも達します。
 いて座A*周辺のように極端に重力が強い環境では、天体の運動はニュートンの万有引力の法則に基づく「ニュートン力学」で記述される運動からわずかにずれ、アインシュタインの「一般相対性理論」で予言されるような効果が表れるはずです。
画像 いて座A*の周囲を運動する星々のシミュレーション画像。

超大質量ブラックホールから噴き出すジェッ
 すばる望遠鏡が向けられたのは、みずがめ座の方向約43億光年の距離にある「TXS 2116-077」と呼ばれる天体です。過去の観測から、TXS 2116-077は中心核が明るい「セイファート1型銀河」であり、ジェットが発生していることがわかっていましたが、すばる望遠鏡の撮影で初めて、この銀河に別の銀河が衝突していることが判明しました。「すばる望遠鏡の高い解像力により、ジェットを放出するこの銀河が合体途上にあり、隣の銀河と4万光年まで近づいている様子を初めてとらえることができました。これらは銀河合体の最終段階にあるようです」(国立天文台ハワイ観測所 Hyewon Suhさん)。

衛星

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