御形神社
兵庫県宍粟市一宮町森添 ゼンリン

重要文化財の本殿



交通案内
伊和神社前から横山行きバス 三方小学校下 北へ300m、東へ100m

祭神
葦原志許男神 配 高皇産靈神、月夜見神、素戔嗚神、天日槍神

鳥居



由緒
 式内小社。『播磨風土記』には、「御方とよぶわけは、葦原志挙乎命は天日槍命と黒土の志爾蒿[しにだけ]にお行きになり、 お互いにそれぞれ黒葛(蔓草)を三条足に着けて投げ合いなされた。その時葦原志挙乎命の黒葛は一条は但馬の気多郡、一条は夜夫郡、もう一条はこの村[御方里]に落ちたので三条[みかた]と云う。 天日槍命の黒葛は全て但馬の国に落ちた。それで但馬の伊都志[出石]の地を占めておいでになる。
 あるいはこうもいっている。大神が形見[形しろ]として御杖をこの村に立てられた。だから御形という。」と記している。

 鉄資源の簒奪合戦の最終局面と思われる。『日本の神々2』によると生野、神子畑、明延など現在の鉱業地に比較的近いとのこと、また黒地、金屋、釜河内、黒原と言う地名があるとのことである。 また、河川の合流するポイントであり、交通・産鉄の要所であったと思われる。

 御形の名の意味について諸説がある。風土記では但馬の気多郡、夜夫郡、当地の三方に大神の黒葛が落ちたことと、杖の伝承をあげているが、 『社記』では、一夜にして大杉が三本生えたこと、大神が降臨されたとき、三本の柚子の木があったことを示しているようだ。 (大神はこの時に棘で目を痛めたとする。一目伝承で、金属精錬の神を思わせる。)

 祭神については、以前は左殿に月読神、中殿に高皇産靈神、右殿に素盞嗚神であったようで、主役と思われる葦原志許男神  と天日槍神が居ないのが興味深い。以前の祭神は三種の神器である勾玉、鏡、剣の象徴と思われ、記紀史観などに影響されたものだろうと思う。 本来の祭神は不明だが、一座とすれば葦原志許男神と同神と見られていた伊和大神であろう。

 御形の名の意味についての大和中央史観丸出しの伝承が残っている。
葦原志許男神と天日槍神との戦いを仲裁するべく大和から高皇産靈神がやって来て和議があいなった。そこでお三方をお祭りしたので御方神社と呼ぶ。(出典忘却)

   黒土の志爾蒿[しにだけ]に比定される高峰山は冬至の日昇方向だそうだ。祭礼時には古くは社人が騎馬で往復したそうである。

拝殿


平成祭礼データ 神社本庁から
当社のご祭神は葦原志許男神と申し、又の御名を大国主神とも申し上げます。志許は 、元気のある、武勇に優れた、或は神威赫たる神という意味であります。 この神様は、今の高峰山に居られて、この三方里や但馬の一部も開拓され、蒼生をも 定められて、今日の基礎を築いて下さいました。
 しかし、その途中に天日槍神が渡来して、国争ひが起こり、二神は黒葛を三條づつ足 に付けて投げられましたところ、葦原志許男神の黒葛は、一條は但馬の気多郡に、一 條は養父郡に、そして最後は此の地に落ちましたので地名を三條(三方)といひ伝へ ます。又、天日槍神の黒葛は全部、但馬国に落ちましたので但馬の出石にお鎮まりに なり、今に出石神社と申します。
 やがて葦原志許男神は事を了へられてこの地を去られるに当り、愛用された御杖を形 見として、その山頂に刺し植えられ、行在の標とされました。以て、当社の社名「御 形」は、形見代・御形代より起こりました。
 その刺し植えられた所に社殿を建ててお祀り申しましたのが当社の創祀であります。 やがて奈良朝の宝亀三年(七七二年)、里人数人が一夜の中に三本の大杉が、山神社 の森に鼎立するという霊夢を見、これは山頂の大神の当地へのご遷座の所望であらう との事で、早速ご社殿を造営し、お祀り申し上げたのが当地での起源であります。 御本殿は、三間社流造、檜皮葺、大永七(一五二七)年の建立で、昭和四十二年重要 文化財に指定され、昭和四十六、七年に解体復元工事が施工されて、室町時代後期の 見事な彫刻や繊細な組物が甦りました。


大神降臨地の碑(沖田の碑)から神社の森を見る。




お姿

 三方小下のバスをおりると、東に家原遺跡公園が見える。北へ少し歩くと御形神社へ100mとの看板がある。これは道を曲がれば100mで神社ということで、曲がり角までは300m程度はあった。 公文川を渡ると黒い鳥居が見えてくる。鳥居をくぐる前に右手を見ると「大神降臨地」の碑が田圃の中に立っている。

 鳥居へ戻り、山門の鍾馗様に睨まれながら拝殿へ進む。横へまわると噂に高い文化財の本殿が見えてくる。 大永七年(1527年)の造営という。三間社流造檜皮葺で、室町末期の様式を伝えている。建築史上勝れた遺構だそうだ。

本殿の説明


お祭り

 5月 3日  春季大祭  10月10日 秋祭

 日本の神々2 白水社
 式内社調査報告
 風土記

兵主神・邪馬台国と天日槍命・赤留比賣命

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