熊野古道中辺路 三栖王子と珠簾神社
田辺市下三栖字岩屋谷1444ノ2
JRきのくに線田辺駅 東3km付近



 万呂王子から古道を進む。途中で左へ坂を上ると三栖廃寺塔跡の建物と説明板が立っている。 この寺は法隆寺様式の伽藍配置と推定されており、古代から牟婁の要衝の地であったことを物語る。

三栖廃寺塔跡



 下三栖の南東岩屋谷の古道沿いにあった。下三栖のバス停があり、Vshopの向こうの道の橋を渡ると報恩寺がある。 この寺内には西国三十三観音のミニチュアコースがあり、約1時間程度で回れる。
 報恩寺左側の峰伝いの北を王子山と呼ぶ。熊野古道らしい雰囲気の道である。この山の中腹に王子社跡の碑が設けられている。 熊野御幸記では丸王子を過ぎて「次ミス王子」とある。岡坂越えである。

 後の熊野街道中辺路は潮見峠越えがメインルートとなった。 江戸時代には影見王子の名で知られていたが、これは紀伊国内の名所旧跡を探索して再建したからであり、この時代には廃れていた。 続風土記には「社辺の谷川にて影をうつし見給ひて、此社に鎮座す。故に影見といふとそ」と記されている。
当地の八坂神社に遷座したが、八坂神社ごと上三栖の珠簾神社に合祀されている。

三栖王子社跡の碑 ゼンリン



 三栖王子社跡の隣に額田王の万葉歌「三栖山の 檀弦(まゆみつら)はけ わが夫子(セコ)が射部(いめ)立たすもな 吾が 偲ぶばむ」の碑がある。射部とは張り番のことだそうだ。




珠簾みす神社

田辺市上三栖46 バス長野行き井上下車 its-mo

珠簾神社遠景


祭神 伊邪那美命、速玉男命、事解男命、須佐之男命、ほか四神
境内社 見影神社、金比羅神社

由緒 創立年代は不詳。じつにさわやかな印象の神社、木々が多すぎもせず少なすぎもせず、山肌まですけて見えるようだ。美しく整備されており、摂社も美しい。

祭り 11月15日 奉納相撲 拝殿前に土俵がある。

珠簾神社鳥居と拝殿



珠簾神社本殿


紀伊續風土記 巻之七十一 牟婁郡 三栖荘 上三栖村から


○一倉明神社   境内森山 東西五十五間 南北四十一間
 本社三社 新宮 本宮 那智 各前一間
 末社二社 若宮  大将軍社   拝殿
小名前田といふにあり 此地古熊野の御簾領なるに依りて祭るといふ 古は三栖荘三箇村の産土神なるを今は上中二村の産土神とす


 




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