浪華・元禄文芸の風景
上田秋成の風景と物語

秋成誕生の地



享保十九年(1734)大阪曾根崎に生まれる。
田中氏と伝える生母は妓家の娘と云われる。
実父は崇禅寺馬場の仇討ちの生田傳八郎とする説もあるがが、実際のところ両親ともども定かではない。秋成自身は実父は誰か知らず、生まれた時に生きていたかどうかも知らないと記している。
 




露天神社(お初天神)
大阪市北区曽根崎2-5-4
 祭神 少彦名大神、大己貴大神

 由緒 当社御鎮座の曾根崎は、上古曽根州と称する孤島で島中に一小祠があった。
 地名曽根の名は難波八十島祭の一つであった往吉住地曽祢の神を祀り、この御神名によって曽根州たる地名が起こったという。
 後、後陽成天皇の御神名御宸筆を御霊代として菅原道真公を配祀、曾根崎天神の名がある。
 延喜元年一月、菅原道真公筑紫に太宰権帥として左遷配流の道すがら太融寺参詣にこの社地をすぎられた時、路上の草露深く袖を濡らしたので「露と散る涙に袖は朽ちにけり 都のことを思いいづれば」と詠ぜられたのが、露天神社の名の起こりといわれている。
 又五月入梅の侯になると社地より清水が涌出したので、梅雨の天神と称せられるようになり、現在も境内に神泉露の井戸があり、その跡といわれるがいづれもその出所は詳かでない。
 旧記によれば文明五年及天文三年、両度再建せられ、元和元年、大坂夏の陣の兵火に炎上、同八年、この地の豪族渡辺氏によって造営され、次第に土地の繁栄と共に当地の産土神と尊崇せられるようになった。
 古くは北野天神、大阪天満宮とこの三社をもって世人かなえの三足にたとえて、「三鼎の宮」と称し有名であった。
 明治五年、郷社に列し、同四十年、難波神明社を合祀、同四十三年、金刀比羅宮、水天宮を末社として奉斎する。
 明治四十二年七月三十一日、所謂北区の大火により嘉永二年四月造営の社殿、社宝、旧記等烏有に帰したが、幸い伊勢神宮滝原宮の遷宮古材を得て、大正十年十月二十日、旧にまして壮麗に復興された。
 然るに昭和二十年六月、今次大戦の災に罹り惜しくも末社を残し焼失した。
 その後氏子崇敬者の奉賀を得て昭和三十二年九月二十日、壮厳なる社殿を造営、遷座祭を斎行し、次で昭和五十二年十月二十日、菅原道真公御神忌壱千七十五年祭ならびに社殿復興二十周年記念事業として社殿の修復、透塀玉垣等新設。同五十六年二月二十日、神輿庫竣工し現在に至る。 合祀の難波神明社は、夕日の神明とも称し春日出朝日の神明社、鶴町日中の神明社と共に大阪三神明といわれ、社殿が西に向かっていたのでこの名がある。
 又東京芝神明宮、京都松原神明宮、同東山神明宮、加賀金沢神明宮、信濃安曇神明宮、出雲湯殿山神明宮と当神明宮をもって日本七神明という。
 又この社は嵯峨天皇の皇子河原左大臣源融公が弘仁十二年に今の西天満伊勢町辺の一孤島に祀られたのがその始めで、この地を大神宮北の州、又は神明の鼻と称し、現在の伊勢町、木幡町の名の起こりでもある。
 後醍醐天皇の御代には勅願所と定められ屡々行幸せられ、後徳川氏の世に至っては大坂城代及両町奉行の尊崇ことに厚く境内も広大であったが、天保五年七月十一日、火災により社殿悉く焼失し次第に衰頽に赴き、明治四十年十二月、当社に合祀された。
 末社は金比羅宮、水天宮、稲荷社があり、金比羅宮はもと中之島高松藩邸に祀られ讃岐国金比羅宮社のご分霊を勧請、水天宮は久留米藩邸に祀られたのを明治になり、藩邸を上地その後当社に遷座された。 又通称お初天神なる名の起こりは、元禄十六年四月七日、堂島新地天満屋の抱えお初と、内本町醤油問屋平野屋の手代徳兵衛が、当社天神の森で心中し大阪中の評判になった。
 近松門左衛門は直ちにこれを劇化、翌月五月七日、道頓堀竹本座の舞台にかけ、近松の名文とあいまって大当たりとなり竹本座の不振を一挙に挽回したという。
 「この世も名残り、夜も名残り、死にに行く身をたとふれば、仇しが原の道の霜、一足づつに消えて行く夢の夢こそあはれなれ」 
 浄瑠璃 曾根崎心中道行の一節近松門左衛門の曾根崎心中は社会劇ともいうべき世話物浄瑠璃の初作として、演劇史、文学史的にも重要な意義と価値をもつといわれている。
 現在の境内地は約壱千坪、附近商店街の発展と共に境内も逐次整備され、勧学の神、商業繁栄、交通安全、縁結びの神として老若男女の参拝も多く、又毎月第一金曜日には大阪ゴミの市という骨董市もたち、アンティークな品を求める若人達で賑わっている。
 以上


曾根崎の露天神社

露天神社

夕日神明宮

神社前の繁華街

曾根崎心中 お初徳兵衛の像

摂津名所図会 露天神社


上田秋成 遊郭で誕生す

上田秋成 紙油商に養子に貰われる。

上田秋成 疱瘡を患い、直す。

上田秋成 文人として名をはせる。

上田秋成 雨月物語の風景。

上田秋成 春雨物語の風景。

上田秋成の風景と物語